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■酔田振男の酔いどれ前のひとりごと■

〜『酔いどれオマージュ』をなんとなく書いた男の、ちょっとだけマジメなひとりごと…〜

vol.63 正統と異端と


 活字ばなれとかさぁ、若者が年々本を読まなくなってるとかさぁ、頭の良さそうな人がさっき言ってたけどさぁ、読書イコール啓蒙、文学イコール道徳って臭いがしちゃってさぁ、あの発想って間違ってるよなぁ。だいたいさぁ、ひとに本を薦める、その神経がおれはわからないよ。宝のありかをおいそれと教えるかい、なんでもない者にさぁ。

 くじけずに清く正しく生きましょうってことを言ったり聞いたりしたいんだろ。いいよ、そんなもの。いかに生きるかなんて、そんな雲をつかむようなことを人に訴えたり尋ねたり書物に求めたりすることがまず失礼なんだよ。そんなこたぁ、そのときそのとき、その人その人が好きなところを選んでいくだけだよ、事に臨んでごちゃごちゃ理由をくっつけたがるけどさ。

 本なんて読まなくてすむ人は読まなくていいんだよ、毒にはなっても薬にはならないんだから。上っつらの問答に本を使おうとするから読書イコール青汁になっちまって、見向きしないんだよ。

 いいか、心して聞けよ。知識だの教養だの思索だの情操だの、そんなわけのわからない旗を掲げて、小賢しい腹で本を読んだら、いいかお前ら、ただおかねえぞ。本を読むってのはな、バカを見物することだ。

 てなことを、中学高校んときの、べつに髪の毛は長くなくてもいいけど、先生に言ってほしかったねぇ。

 新年会の酒が残ってるなぁ。

 なんていうかなぁ、おれ、絶対、感動なんてしたくないなぁ。なにかありゃ、すぐに感動感動ってさぁ、なんなんだよあれ。ひとまえで平気で泣くし、それがいいことだっていうフシもあって、やだよ、おれ、そんなの。

 酔ってるつもりはないんだが、話がとんで、だけど正月だからね、とんでとんで、とんでもねえことを、せめて言ってみたいじゃねえか。世界中を敵にまわしてみたい、道ならぬ恋でもして、とかさ。

 飯田覚士ってさぁ…話はまたとんでるぜ、ボクシングにからめたことも言わなきゃね。おれね、彼のボクシングに好感をもってるよ。正統派だからさ。線は細いし正直すぎるし、だけどさぁ、しっかりボクシングをしていたもん。力強さはなかったよ、突出していたものはなかったよ、だけどさぁ、きれいな骨組みが見えていたもん。

 世界に通用するとかしないとか、結果通用したんだけど、そんなことは脇においといてさぁ、自分に合ったスタイルはどんなものか決めるよりさきに、根性だとか精神力だとかさぁ、つべこべ言うよりさきに、ちゃんとボクシングを学んで実践したという印象があるよ。その先の肉づけや色づけには間に合わなかったけれど、異端なき真っ正直の姿勢は、それがどうだこうだじゃなくてさ、おれには消えずに残ってるってこと。

 異端がだめだってことじゃない。勝ち抜くにはむしろ異端の要素がないとたいへんなんだ。それを時に才能なんて言うけどさ。その異端がなくてあそこまでやったってのは一つの手本だし、ボクシングのカンドコロをおさえていたとも思うんだよなぁ。

[2005/01/05 記]

※編集部より:本年より隔週、もしくは月に2回、と更新間隔を変更させていただきます(次回更新は1月19日頃の予定です)。



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