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いつだったか、幕内力士が角界の内幕をあばいてニュースになった。週刊誌もさかんに叩いていた。ずばり“八百長”と題した本も力士経験者によって出された。けしからんと憤るよりも、さもありなんと納得してしまうたちなので、しばらくは大相撲の取組をどれがガチンコでどれが注射(符牒でそう言うらしい)なのか、自分なりに検証しながら見ていた。
そんな中、時代を先取りしていた横綱がいたことを知った。本人の名誉のため言い添えておくが、その横綱は作られた横綱ではなく、実力の横綱だった。
で、どんな具合に時代を先取りしていたかというと、ぶっちゃけ、まあ、取巻きが力士に女性をあてがうわけですよ。位が上がるほどに我がままが通るのは相撲界に限ったことではないけれど、その横綱は女性に対しての注文が変わっていた。当時としては…。
顔がどうのスタイルがどうの性質がどうのというものではなくて、スチュワーデスを寄越せだの、看護婦を連れてこいだの、教師がいいだの、医者を引っぱって来いだの、もっぱら職業に執着したんだそうだ。これに取巻きは苦労した。意に添う女性を見つけてはくるものの、いつもいつもというわけにはいかなくなってくる。思い余った彼らは、ええいままよ、注文とは違うけれども、遣わす女性にはそれになりきるように言いふくめて(たぶんね、恰好だけはお望みのものをあつらえて)、横綱のもとへ送り込んだ。戦戦恐恐だったろうね。
騙したな! そう言って張り手のひとつやふたつ飛んできても仕方がないと覚悟はしたが、なに、横綱はことのほか喜んだ。そこで取巻き連中、ようやく気づいた。「はじめからこれにしておけばよかったんだ・・・」。
おかしかったね。いわゆるコスプレ。今では目新しいことではないけれど、だいぶ前にすでに角界の頂点で実践されていた。
こんなことは江戸の昔にあったかどうか知らないが、雷電為右衛門の武勇伝も醜聞も調べあげて、そこにさらなる脚色をしてみたかった。狭い山道で行き合った殿様の行列を避けるために、曳いていた馬を持ち上げたなんていう話は、ウソでもいい、驚きだ。ボクシングにだって、象をも倒すパンチ、なんてのがあったでしょ。
このゴーリキの力士を蘇らせて、ヘビー級王者との仮想対決を企んだが、とんでもない、漢文も読めず時代も知らず、古今最強、文武両道の怪人をとらえるなんてできやしないと分かった。荷が重すぎて、うっかり書いたら、雲の上で虎の皮の褌をしめた、赤や青の雷さまにデンドンデンドン、太鼓を打ちならされて大笑いされそうだ。
雷電のことを言えば鬼が笑う。
なんて、実はこの駄洒落が言いたかった。
本年はこれにて。良いお年を。
[2004/12/22 記]
※編集部より:来年より隔週(もしくは月に2回)と更新間隔を変更させていただきます。ご了承ください。