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■酔田振男の酔いどれ前のひとりごと■

〜『酔いどれオマージュ』をなんとなく書いた男の、ちょっとだけマジメなひとりごと…〜

vol.27 参った


 数あるボクシングビデオを保存し直すべくDVDレコーダーを買ったはいいが、肝心のビデオテープがカビだらけだ。音は聞こえても絵が出ない。声はすれども姿なし。思案にくれて、そのまま流しておけばハードもやられる。テープをクリーニングする業者があることはわかったが、いずれ直してもらうことにはなるだろうが、ほんと参ったな。カビにやられていないものでも劣化がひどい。

 向こう一年でビデオからDVDへ完全移行を目論んでいたが、早くも頓挫した。まごまごしていると、さらなる優れものが出てきてDVDも駆逐されるかもしれない。

 ため息つきながら状態の良さそうなテープからDVDへダビングしているが、DVD−Rだとやり直しがきかないんだ…。少し編集もしようと思うので見張っていなければならないから疲れること。まあしかし、疲れるけども見かえしていると発見もある。

 褐色の爆撃機ジョー・ルイス。

 相手を倒したあと、くるっと背中を向けて、こころもち肩を落として俯き加減でコーナーにさがる。誰かに似ていると思ったらアレクシス・アルゲリョだった。佐瀬稔氏が相手を倒したあとのアルゲリョの様子がいいと言っていたが、アルゲリョはルイスを真似たのではないか。

 シュガー・レイ・ロビンソン。

 体重をのせて体ごと持っていく右フック。ナジーム・ハメドが浮かんだ。あてずっぽうだが、ハメドはロビンソンを学んだと思う。

 サルバドール・サンチェス。

 長年こころに掛かっていることだが、やはりサンチェスは過酷なリングでボクシングを愉しんでいた。これじゃ相手はたまらない。ここぞで見せる右ストレートもちょっと違う。肘の返しが遅い。ために相手の顔に触れてからナックルがねじ込まれていく。見た目、猫なでパンチのように見えるが、ウィルフレド・ゴメスはこれで沈んだ。

 フリオ・セサール・チャベス。

 1985年4月から1988年9月まで、リング・ジャパンで毎月1本最新ファイトのビデオテープ配給サービスがあった。海外の世界戦は今でこそWOWOWで定期放送があるが、当時はテレビ東京の不定期放送とリング・ジャパンで販売する高額なビデオテープしかなかった。そんな中で開始された安価なサービスだったが、収録はされていたもののチャベスの扱いは低かった。「スパークするものがない」とジョー小泉氏がどこかに書いていたように記憶しているが、同感だった。

 その後のチャベスの活躍はご存じの通りで、マイク・タイソンとともに世界のボクシング界を引っ張った。それでも私はチャベスに惹かれることは少なかった。ただ、チャベス以後、優れたボクサーは出ているが、印象として、チャベスは個性豊かなラテンの名優たちのしんがりをつとめたボクサーだった。まだ戦うみたいだけどね。今は時代の色あいが変ったと思う。

 とんちんかん、二番煎じ、そんな指摘をされても、汚染された白いビデオテープを目の前にしては、返す言葉はないぜ。

[2004/02/04 記]



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