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実況席から得意満面で教えていたガッツ石松。
派手なパフォーマンスやとぼけたタレントぶりに目がいきがちだが、すぐれたチャンピオンの一人だったと思うよ。
深夜番組でボクシングの魅力を語ろうとして、言葉につまって、「レイ・マンシーニvs金得九」戦が契機で15R制から12R制に変わったなんて、わからない人にはまるでわからないことを喋っていたっけ。
タイミングを早めて打ち込む右を『幻』と称してアピールしたのは手柄だけれど、なによりも左リードがきれいで良かったな。左リードのコンテストがあったら、日本のボクサーで3本の指に、ま、5本にしておくか、入る。
持ち上げたからって、べつに怪しい理由があるわけじゃない。数が少なかったのが惜しまれるが、言葉そのまま、ナチュラル感のあるきれいな左だった。
ヘススに負けた試合、あれってなんか変な感じがあった。海外での防衛戦で調整がうまくいかなかったのか、あるいは現地で練習していてピストルちらつかされてビビッたのか、まさかそんなことはないだろうが。
なんて言うのかな、ちゃんとやれば勝てた相手じゃないか、そう思ってしまう試合だった。当人には大きな壁だったのかもしれないが、わたしには相手が大きく見えないときに、この変な感じが湧く。
渡辺(二郎)や鬼塚のラスト・ファイトにも、この変な感じがあったな。ヒルベルト・ローマンはたしかに巧く、したたかだったが、それでも渡辺がちゃんとやれば負ける相手ではなかったと今でも思う。鬼塚の場合も、あの最終戦に限って言えば、力量は鬼塚がまさっていたと思えてならない。李の、あの不用意な入りかたが気に入らなかった。テンプルでも顔面でも簡単に狙い撃ちできるはずなのに、鬼塚はなぜ打たないんだと、そりゃ、眼疾で“これが最後”と決めていたにしてもさ。
ちゃんとやれば勝てたのに、ちゃんとできない何かがあって、ちゃんとできずに負けてしまった。王座陥落はえてしてこんなことかもしれないが、“ちゃんとできない何か”ってなんだろうって考えだすと、始末に困りそうなので、謎解きはしない。なんて言いつつ、気持のどこかが萎えていたのかなあ。
もうひとつガッツ石松を持ち上げよう。意味もなくほんのちょっと気分がいいから。
アルバロ・ロハスを倒した右アッパー。狙っていたにしても、まぐれ当たりじゃないかと思った。それでも日本のリングで、こんな鮮やかなアッパーカットによるワンパンチKO劇はそうそうお目にかかれないと思いなおして、以来、いまだに目にしていない。
[2004/01/21 記]