トップ通販案内編集部より
EDITORS report〜編集取材記〜
Web連載掲示板ど忘れ確認用! 資料編MAIL
ボクシングジムLINKボクシング情報LINKその他LINK
■酔田振男の酔いどれ前のひとりごと■

〜『酔いどれオマージュ』をなんとなく書いた男の、ちょっとだけマジメなひとりごと…〜

vol.8 リングサイドで


 10月4日に、ウィラポンやらムニョスやらの豪勢な興行があって、結構なことだが、一方でなんだかもったいないなあと思う。いくら腹がへっているからといったって、次々にごちそうを並べられて、さあ食えと言われても、うまさが半減してしまう。ひとつひとつ味わいたい。

 ダブル世界戦というのがちょっと前にもあったが、好きじゃない。通販でやたらとおまけがつくみたいで、そんな安売りする代物なのか? …かえって不安になるし、腹の底じゃ、なんだかボクシングがおとしめられているようで、面白くない。

 そうでもしなきゃ興行がうてないのは、ボクシングが好きな人がいなくなりつつあるってことの裏返しで、まあ、お祭り気分でみんなが騒いで、それで関心を寄せる人が増えて、裾野がひろがればいいが、はたしてどんなものか。みてくれが派手で、人々を釘付けにするシーンがあればいいけどね。

 水をさしちまって、すまない。

 じかにボクシングを見られれば、世界戦だろうが4回戦だろうが、構わないんである。リングがあって、そこにボクサーがいて試合をしている。それだけでいい。リング上の二人とその周りの人間の様子を見ていられるなら、それだけでいい。ただし、思い入れが強かったり、数が多かったりすると、集中が途切れて疲れるので、まじかで見るなら試合数は少ないほうがいい。トータル20ラウンドくらいが、今は適量だろうか。リングサイドで見られるならこのうえない。へたくそであろうが、ぶざまであろうが、生で見るときはいっそう畏敬の念を抱いて見ている。

 若い時分はひと風呂あびて体きよめたつもりになって、観戦したものだが、近ごろはそんな気負いも失せた。

 金銭や身体の傷みを思えば、ボクシングは割りの合わない商売だとたいていの人は言うだろう。でもそれはやらない人の勝手な思い込みで、実はスポットライトを浴びてリングに立つってことは、常人(凡人?)には味わえない恍惚の時間を持てるってことじゃないかと、リングに立ったことのない者はふと思う。

 強いとか弱いとか、うまいとかへたとか、世の中の価値観がどうだとか、いい女がいるとか、金がないとか、そんなことは、ほんとは結構考えるんだが、リングサイドでリングをながめていると、そんなもろもろの思いがまったいらになって、地平線の彼方に消えていくような、なんだか不思議な気分になってくる。

 言葉たらずでうまく言えないし、安直に形容詞をもちだして主張する気もないけれど、たとえば、誰もいない後楽園ホールのリングサイドで、ぽつんと坐っていられる時間がもてたら、30分や1時間なら退屈しないだろう。

 興行がおわって客がひきあげたあと、そのまま席に居残って、しばらくリングをながめていたい、そんな思いにかられることって、ないかい。

 以上、とりとめのない話でした。

[2003/09/10 記]



ご意見、ご感想はこちら
トップに戻る