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ダブル世界戦というのがちょっと前にもあったが、好きじゃない。通販でやたらとおまけがつくみたいで、そんな安売りする代物なのか? …かえって不安になるし、腹の底じゃ、なんだかボクシングがおとしめられているようで、面白くない。
そうでもしなきゃ興行がうてないのは、ボクシングが好きな人がいなくなりつつあるってことの裏返しで、まあ、お祭り気分でみんなが騒いで、それで関心を寄せる人が増えて、裾野がひろがればいいが、はたしてどんなものか。みてくれが派手で、人々を釘付けにするシーンがあればいいけどね。
水をさしちまって、すまない。
じかにボクシングを見られれば、世界戦だろうが4回戦だろうが、構わないんである。リングがあって、そこにボクサーがいて試合をしている。それだけでいい。リング上の二人とその周りの人間の様子を見ていられるなら、それだけでいい。ただし、思い入れが強かったり、数が多かったりすると、集中が途切れて疲れるので、まじかで見るなら試合数は少ないほうがいい。トータル20ラウンドくらいが、今は適量だろうか。リングサイドで見られるならこのうえない。へたくそであろうが、ぶざまであろうが、生で見るときはいっそう畏敬の念を抱いて見ている。
若い時分はひと風呂あびて体きよめたつもりになって、観戦したものだが、近ごろはそんな気負いも失せた。
金銭や身体の傷みを思えば、ボクシングは割りの合わない商売だとたいていの人は言うだろう。でもそれはやらない人の勝手な思い込みで、実はスポットライトを浴びてリングに立つってことは、常人(凡人?)には味わえない恍惚の時間を持てるってことじゃないかと、リングに立ったことのない者はふと思う。
強いとか弱いとか、うまいとかへたとか、世の中の価値観がどうだとか、いい女がいるとか、金がないとか、そんなことは、ほんとは結構考えるんだが、リングサイドでリングをながめていると、そんなもろもろの思いがまったいらになって、地平線の彼方に消えていくような、なんだか不思議な気分になってくる。
言葉たらずでうまく言えないし、安直に形容詞をもちだして主張する気もないけれど、たとえば、誰もいない後楽園ホールのリングサイドで、ぽつんと坐っていられる時間がもてたら、30分や1時間なら退屈しないだろう。
興行がおわって客がひきあげたあと、そのまま席に居残って、しばらくリングをながめていたい、そんな思いにかられることって、ないかい。
以上、とりとめのない話でした。
[2003/09/10 記]