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■酔田振男の酔いどれ前のひとりごと■

〜『酔いどれオマージュ』をなんとなく書いた男の、ちょっとだけマジメなひとりごと…〜

vol.2 稀代のボクサー


 アレクシス・アルゲリョは世界チャンピオンとして、技量や物腰が標準サイズのボクサーだと思っていた。たぐいまれなボクサーだったと気づいたのは、引退してからだ。比肩するボクサーがなかなか出てこなかったからね。

 それでもチャンピオン名鑑の中の一人、という域を出なかった。

 印象深い試合はある。

 ビル・コステロ戦。

 記録では、ポイントをとられていたが4R逆転KO勝ちとなっている。

 ずっと彼を見てきた人なら、様子がちがっていたことがわかったはずだ。肩や腕でパンチをうけて相手の力量を測ることはせず、初めから倒すタイミングを計っていた。ロープに詰めてコンビネーション、最後は右を打ち抜いた。その背中が“時間がないんだ急ぐんだ”と言いたげだった。

 ボクサー・ファイターのアルゲリョがファイターになって、ふたたび浮かび上がろうとする元チャンピオンの息の根をとめた。

 日本では浜田剛史の時代だった。

 べつにファイターがいいというんじゃない。

 アレクシス・アルゲリョという稀代のボクサーをうまく語れずに、長いこと困っているだけ。

 名試合の誉れ高いアーロン・プライアー戦にしても、仕事でテレビ東京を見られなくて、ボクシングには興味の薄い友人に録画を頼んだ。その友人が「すごい試合だった!」と、その夜のうちに息せききって職場にテープを届けてくれたことのほうが、試合そのものより鮮明に残っている。

 アルゲリョ相手じゃ、プライアーは歯が立たないだろうと思っていたけど、まさかあんな試合になるとはね。

[2003/07/30 記]



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