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■“あたし”のボクシング 〜ウエキョンの女子ボクシングレポート〜■

vol.20 Fighting Angel 2004 Part 3@六本木ヴェルファーレ


 
 5月23日、日曜日。ここ六本木ヴェルファーレで女子ボクシング興行が開催される日は、ぐずついた天気の日が多い。予報は雨だったが、構わず自転車で向かう。大雨の中自転車で帰ることになっても、彼女たちがこれから迎える時間の濃さに比べたら取るに足りないこと。

 と、取材で行くだけなのになぜか背筋を伸ばして向かったこの日。それだけ緊張溢れるカードが満載だったからだ----。(文中敬称略)

* * * * *

★第1試合/フライ級4回戦
 櫻田由樹(Fギャラクシ−)vs. 上村里子(フィオ−レ)

 故障で欠場の須賀寿江(鴨川)に代わり、急遽出場が決まった櫻田。彼女は前回に引き続き、容易ではない短期間でのコンディション作りを受諾、そのハートはリスペクトの一言。上村は前回初白星をあげてその上達ぶりは目覚ましい。

 これはいい試合になるだろうとの予測通り、序盤から軽快な試合運びを魅せてくれた。櫻田本来の持ち味のアウトボクシングで、上村の長いリーチをうまくかわす。両者共にキレがよくリズミカルで綺麗なボクシングマッチだったが、後半櫻田のスタミナ切れか、上村のパンチが当たりだし、3Rで櫻田がスタンディングダウンを取られる。4Rでまた盛りかえすも、上村のラッシュで、40-37、40-37、40-36の上村の判定勝ち。


果敢な打ち合いは、藤本(右)に軍配
★第2試合/日本フライ級ト−ナメント4回戦
 古賀友子(シュガ−レイ)vs. 藤本りえ(KAKINUMA)

 次期フライ級チャンピオンを狙うこの2人、プロテストで共に戦い、去年の公式戦で対決した際はドローと、宿命のライバルとも言える。ここは決着をつけたいところ。その心意気の激しさのように、序盤から相当の打ち合い。とにかく前に出て手を出す古賀、コンビネーションが冴え相手を見て確実に一発を決める藤本。

 この日は、互いの本来の持ち味が今一つ出せない、やりにくい相手なのだろうかというもどかしさが募る。しかしさすが期待通り、2人ともペースもスタミナも落とさず4Rを打ち合う接戦。有効打の多かった藤本が、40-39、40-39、40-38で判定勝ち。

★第3試合/日本ミニフライ級ト−ナメント4回戦
 菊地奈々子(代々木ブル−スカイ)vs. 池山 直(フジワラ)

 デビュー戦以来共に2戦2勝。静かな意思の強さを感じさせる菊池、そしてその豪腕さが今後KOボクサーになる期待を抱かせる池山。全く違うタイプの2人、どういう試合になるのか想像もつかなかったのだが、まず驚いたのが菊池の上達ぶり。試合ごとに確実に技術が磨き、心無しか顔つきまで変わってきて、「ボクサー」然してきた。

 今までのガードの甘さが改善され、池山の重いパンチをかわしていたが、後半はガードが下がったのが惜しい。3Rの手数対決は流血しながら声を出し、緊迫した空気を作る。その後もペースを崩さずぶつかりあい、技術で勝った菊池が、40-39、40-37、40-39で判定勝ち。


渡辺(右)が手数で圧倒、判定で勝利
★第4試合/日本ミニフライ級ト−ナメント4回戦
 渡辺まりか(F.I-TEN)vs. 坂本奈緒子(RED DEVIL KIS' S)

 総合格闘技もこなす坂本は、デビュー戦が惜しくもバッティングによるノーコンテスト。渡辺はデビュー戦で古賀とドローの実力の持ち主。2人とも細くて可愛く、しかし! これが中々の面白い試合を見せてくれた。

 とにかく手数の多い渡辺、それに負けずと上手く足を使いコンビネーションで応戦する坂本。しかし渡辺のパンチがあたってくると、坂本のガードが下がりだし、3Rでスタンディングダウンを取られる。4Rで巻き返しを図るも、手数とスタミナで勝った渡辺が、40-37、40-36、40-37で判定勝ち。

★第5試合/57キロ契約6回戦
 マ−ベラス(SPEED)vs. 小八ヶ代真紀(山木)

 4月に対戦したばかりのこの2人。大方のマーベラス圧勝の予想を覆す好戦だったがこの日野屈辱から小八ヶ代が再戦を直訴。誰もが無茶だと思っただろう。その強い意思を示すかのように、ガードも技術も関係なしの突進&打ち合い。

 両者が打ち打たれる音が鈍く重く響く。全身で向かいコーナー、ロープに追い詰め、体が絡み、怪我と押し合いの4R。マーベラスの強打はやはりもらわないようにしないと長丁場は不可能だろう。4R終了TKOで試合終了。


柴田(左)は八島を終始攻め続け、タイトル奪取
★セミ・ファイナル/日本フライ級タイトルマッチ10回戦
 八島有美(Fギャラクシ−)vs. 柴田早千予(白龍)

 この日最大の緊張カード。女子ボクシング界の顔として2年以上もフライ級チャンピオンの座に君臨していた八島に、キック世界王者の柴田が挑む。柴田と言えば名門白龍ジムでの想像を絶するトレーニングを日々こなし、キックではもはや敵無し、海外遠征でもKO勝ち、その圧倒的な力強さではどの追随をも許さない強豪だ。

 ゴングが鳴った瞬間走って相手に猛突進、そのままノンストップのラッシュというスタイル。フォームなどという言葉は彼女にはない。ボクシングフォームファンとしては、なんとか八島にがんばってもらいたいところだったが、試合が始まり、まずは柴田のボクシングテクニックの上達に驚く。

 ラッシュで行けない八島のガードテクもあり、柴田のいつもの持ち味は出せず、予想に反して互角の打ち合いも見ることができる。ハードパンチャー同士のパンチがあたっていくが、王者同士さすがに打たれ強く、カウンター応酬にも一歩も引かず、まさに死闘。スタミナとスピードで柴田が圧倒的に優勢だが、八島のフックアッパーのコンビネーションが確実に柴田に入る。後半になると全く力の衰えない柴田が走って八島を追い詰めるシーンも。

 これだけ打ち合ってまさかの10R完走、判定に持ち込む。激闘だったが、ポイントは100-93、100-96、100-91で、柴田の圧勝、日本フライ級タイトルを奪取した。


ライカ(左)は2R、宣言どおりKOで勝利!
★メイン・イベント/WIBA世界フェザ−級タイトルマッチ10回戦
 ライカ(山木)vs. シェルビ−・ウォ−カ−(USA)

 前回興行で、KO勝利宣言をしたライカ。昨年末の初防衛戦では接戦だったが、今回2度目の防衛戦では快勝し次の地元京都でのビックマッチに備えたいところ。

 相手は10戦6勝(5KO)という強敵(しかもかなりの美人!)。ゴングが鳴り、まずは積極的に手を出すシェルビー。ライカをそれを慎重に1つづつパーリングでさばいていく。風格の違いがもうこの時点で明らか。落ち着いた様子で確実な攻撃をたたみかけ、2R、1分59秒、鮮烈な右ストレートでのKO勝ち。まったく鮮やかだった。

 半年ぶりのリング。その間、師匠畑山隆則や男子選手相手のスパーで、確実に力をつけたライカ。今後が本当に楽しみだ。

* * * * *

 選手のみなさん、本当にお疲れさまでした!

 次の興行は7月18日、大森・GOLD GYM。ミニフライ、フライ級のトーナメントが佳境に入ります。女子ボクシングをまだ生で観たことがない人は、ぜひ足を運んでください!!!

[2004.5.27 記]


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