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■“あたし”のボクシング 〜ウエキョンの女子ボクシングレポート〜■

vol.19 彼女がボクシングを続ける理由/part.1☆櫻田 由樹

 以前にここでワイルドハートの橋本会長に話を伺った時(vol.3参照)、「意外なことに選手になりたいと言って入会した人は半数以上やめていきます」という言葉に、“何で??”と疑問が残りました。選手志望の方が目標があるわけだし、モチベーションを保てて続けやすいのでは、と単純に思ったのです。しかーし、今ではその理由がよーく分かります。

 私自身選手になりたくてボクシングジムに入り、スパーリングをやるようになって、傍から見る以上に、ボクシングというスポーツは深いことが分かりました。身体的な打撃に加えて、精神面でのダメージが相当強い…。これは予想だにしなかったことでした。もちろん逆もあって喜びも大きいのですが。

 そんな精神的な弱さや(どんな人でも持っている弱さだとは思うのですが)、肉体の故障、病気(ちょっとした風邪でも)、仕事(忙しくて前日寝不足だったり)、飲み過ぎ、食べ過ぎなど、ほんの少しのことでも、トレーニングに響きます。それが続くと今度は焦り。まあどんなスポーツでも同じですが、ダメージが大きい(&長い)という点では、ボクシングはやはりハードなスポーツです! 今さら気付くな、って感じですが…。

 そこを乗り越えても、お金持ちになれるわけでもなく、女の場合は「モテる」わけでもなく(むしろ逆?)、それでもこの過酷なスポーツを続ける女性の、理由を聞きたいと思いました。

 昨年6月にデビュー。相手のダウンを取り勝利をおさめた櫻田由樹選手。その後、後楽園ホールで男子の試合の前にエキジビションを行なったり、プロテストを受ける子の相手や始めたばかりの私のスパー相手をつとめてくれたり、女子ボクシングの将来を担う期待の新鋭でした。


4月4日、岡裕美選手に判定勝ちした櫻田由樹選手(右)
 しかし、第2戦目で同じく新人の須賀寿江選手に負け、その後猛練習で臨んだ今年2月の3戦目で、新人の池山直選手に、まさかのKO負け。その後鬱が続いていると告白されました。

 が、前回4月の興行に寸前で参加を決意し、見事勝利をおさめた彼女に、これまでの平たんではなかったであろう道、そしてボクシングに対する思いを聞いてみました。

* * * * *

 始めたきっかけは、たまたまTVでスーツ姿で話す畑山隆則を見て、「この人堂々としててカッコいいな」と思ったからです。後でボクサーだと知り興味が沸きました。そしてビデオを見てボクシングに魅了されて、たまたま中学の同級生で元日本スーパーバンタム級チャンピオンの真部豊が近くにジムを開くというので、オープン生ならやりやすいと思い入会しました。

 プロになろうと思った理由は、真部会長がパンチが重いと(後にお世辞だった事が判明)やたら褒めるのでその気になって。そして女子ボクのディファ有明大会を見に行って体に電気が走りました。小さい頃女子プロレスのビューティペアに憧れていて、その感動が甦り、子供の頃の夢が、少し路線は違うけど叶えられるかな、私もあそこに立ちたい。そんな感じ。

 スパー相手求めてろくに体力作りもないまま山木ジムに乗り込んだけど、初めて袖岡さん(ミニフライ級日本チャンピオン)とやってコーナーで動けないままボコボコに。重いと信じて疑わなかった自分のパンチは、山木会長いわく「スカスカ」。打たれたショックで電車は乗り過ごすし、雷に打たれたようでした。

 デビュー戦は、よく寝れたし何故か全然緊張しませんでした。やりたくてしょうがなかったから。私はパワーパンチャーじゃないから、スパー用の重いグローブがもどかしくてしょうがなかったんです。

 ダウンとった時、「今だ!」と思ったけど倒そうとは思わなくて、当てようとしただけ。それが良かったのかな。何が起きたのか分からなかったけど、勝利出来ました。

 格闘技で得る勝利感って凄いと思います。私は陸上をやっていましたけど、向き合っての対決って無かったですから。最低5〜6人で走って1位以下はみんな同じ、みたいな。勝ったという肖像がはっきりしてるのが、格闘技の凄いところです。

「女が殴りあうなんて」。これは一番言われますよね。でも自分も、男のくせに〜とか言うことあるし、理想の男性像ってのもあるから、しょうがないかな。ただ私離婚してるんですが、結婚してる状態だったらボクシングできなかったろうな、とは思います。女ってまだまだ狭い世界に閉じ込められてしまう風潮とかありますよね。

 やめようと思ったことは…ないなあ。しばらく休もうかなというのはあったけど、やめられる方法、あったら教えて下さい(笑)。

 KO後は、あれは本当に負け惜しみでなくボクサーとして良い経験だと思ってます。鬱になったのは多分目先の目標が無かったからかな。その証拠に次の試合決まったら治ったし、勝った余韻で一週間くらい快感物質が脳に出てたから元気だったし。その後はまた鬱です。


 要するにボクシングってあまりに激しすぎて日常に戻るとギャップに耐えられない。自分の切替えが悪いせいもあるんだけど。それでも続けようと思うのは、まだまだ自分の力を出しきってないと思うからです。鬱は全然克服してないです。元来甘ったれだから、それを直せば自分のボクシングも変わってくると思います。

* * * * *

 辛いことはあまりないけど、お金がかかることかな、と笑って話してくれた櫻田選手。辛いと思わないところが、さすがプロ選手! です。

 池山戦の強烈なダウンシーン、櫻田選手から「ぜひ使ってほしい」とのことでアップします。

 今後も期待しているので、がんばってください!

[2004.4.28 記]


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