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■鈴木成章の“なんとなくマニアック”

〜文化系ボクシングマニア・ライフワークの記〜

vol.13 “特濃ボク汁”インタビュー
[第1回:瀬端幸男]
(ワタナベジムチーフマネージャー/「B:Tight ! 」プロデューサー)

= = = = =
その1「拳は幼いうちに打て」

「なんか、濃いよなあ」。

 後楽園ホールに足を運んだことのある人は、そんな感想を抱いた経験があるのではないだろうか。ボクシングの試合会場にはそんな、一種独特の雰囲気がある。なぜか。それはきっと、そこに集う人々が身に纏う、一種独特の濃厚な空気がそうさせているのではないだろうか。


 
 そう考えた我々は、ボクシング界の「濃い人々」に話を聞き倒そうと考えた。そして立ち上がったのがこの企画「特濃」である。栄えある(?)第1回目は「B:Tight ! 」、イケメンイベント「ダビデ」を企画し、立ち上げたワタナベジム・チーフマネージャーの瀬端幸男(せばた・ゆきお)さんに話を伺った。

* * * * *

 うちの娘はね、辰吉(丈一郎=元WBC世界バンタム級チャンピオン)くんがテレビに映ると決まってこういうんですよ。

「パパ、また『サンマのおじちゃん』出てるよ!」

 辰吉家の2人の男の子は、魚を頭から丸ごと食べるんです。うちの娘と寿以輝(辰吉家次男)くんが同じ年ということもあって、家族ぐるみでの付き合いがあるんだけど、一緒に食事をしたときに見たその光景は娘にとっては衝撃だったんでしょうね。それでね、子どもってなかなか名前を覚えられないんですよ。で、「サンマのおじちゃん」になったわけ(笑)。

 辰吉って2人の子どもの教育を、奥さん任せにしないんですよ。2人の息子がジムで一緒に練習しているのも、その一環なんでしょう。2人ともいいセンスしてますよ。この前、横浜さくら(ジム)さんがやってる子どものボクシング大会を見たんだけど、みんないい動きしてるんですよ。

 4回戦の選手より動きが洗練されている子もいて、きれいな右ストレートを打って相手をスパッと倒したりね。ああいう大会のエキシビジョンで寿希也(辰吉家長男)と亀田くんところの三男坊をやらせてみたいよねえ。

 亀田家もそうなんだけど、やっぱり兄弟って、下に行くほどいいんだよね。ノウハウが洗練されていくから。辰吉家は、お兄ちゃんもいいんだけど、空手とか、いろんなことをやってきた影響がすこしあるんですよ。だから純粋にボクシングに関して言うと、ジュイキはもっといい。あの子は世界チャンピオン、なれるんじゃないかなあ。

 やっぱりね、子どものころから始めたほうがいいんですよ。だって見てごらんなさい、いま若手のボクサーで光ってるのって、亀田くんたちにしても、帝拳の粟生くんにしても、みんな子どものころからやってるでしょ。(*)

 サッカーだって野球だって、水泳やテニスやゴルフだってそうですよ。第一線で活躍しているのはほとんど、子どものころからやってる。藍ちゃん(宮里藍=プロゴルファー)もそうだ。野球なんて、高校から始めた子でプロで活躍しているのなんて、数えるほどもいないでしょう。

 ボクシングは、小さいうちからやる子がまだまだ少ないんですよ。だからオリンピックにも出られないし、ほかの国際大会だって、出てもすぐ負けちゃう。日本だと(ボクシングを)始めるのは高校からっていうのがほとんどでしょ。たまにもっと早くはじめてて、花咲徳栄(高校、ボクシングの名門校のひとつ)なんかでやったりしてるけど、そんなの一握りだから。

 アメリカも、メキシコも、プエルトリコも、強い選手が多い国は、みんな子どものころに始めてますよ。タイだってムエタイやってますよ。日本で、国際大会に出てくるのは大抵、大学生以上のアマチュア選手なんだけど、いかんせんキャリアが足りないよね。相手になってないというか、強豪国の敵じゃないですよ。

 日本でもね、強い世界チャンピオンを出したいとかオリンピックのメダリストを作りたいなら、子どものうちからやらせたほうがいいですよね。

*註:世界チャンピオン経験者でいうと、辰吉、川島郭志氏(元WBCスーパーフライ級チャンピオン)などが幼少時にボクシングを始めている。現役ではWBCバンタム級チャンピオンの長谷川穂積も。トップボクサーでは西岡利晃(スーパーバンタム級世界ランカー)も。

* * * * *

 次回は、瀬端氏が熱心なファンからワタナベジムのマネージャーなった経緯を濃く、書いていきたいと思います。おたのしみに。

[2005/09/24 記]



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