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■鈴木成章の“なんとなくマニアック”

〜文化系ボクシングマニア・ライフワークの記〜

vol.12 “着エロ”からも、脱却すべし!


「着エロ(ちゃくえろ)」という言葉は造語を通り越して、もはや一般名詞と化しつつある。

 それはいいのだが昨今は「デビューがいきなり着エロ」なんていう女子もいて、こういう子はいきなり「もうこれ以上、脱げません!」というところからキャリアを始めることになるわけだ。他人ごとながら、心配になりませんか? 見せ方のバリエーションなんて、それほど豊富にあるわけではない。そうかといって、これ以上「布」の面積を減らすわけにもいかない。

 人は一度、過激なものに目が慣れてしまうと、露出に対して不感症になっていく。同じテンションのものを見ても出しても「またかよ」でおしまい。そうは言っても、見せる側はおいそれと「その次」へ進むことはできない。飽きられるのが早いか、最後の一線を越えてしまうのが先か。ああ、まるでグラビアハムレット。これはなかなか由々しき事態なのではないだろうか。実際、アマゾンのカスタマー・レビューを見ているとよく分かる。同一着エロタレントの作品への星の数は、DVDのリリースを重ねるに連れて減っていく。コメントも辛辣になっていく。

 おそらくは、これを繰り返すうちに人知れず消えていくタレントも多いことだろう。

 そう考えると柏原芳恵という人物は、なかなか優秀だ。週刊誌の表紙に踊る「ついに脱いだ!」的な大見出し。しかし、ページを開くといつもの「寸止め」。これをもう、10年以上も続けている。

「なんだよ、それじゃ詐欺じゃねえか」と言うなかれ。「騙す」側と知っていてそれに乗っかる顧客。怒る人は誰もいない。わかっちゃいるけどナンとやらで、逆に「今度はどんな手で来るのだろうか」と、騙されることを心待ちにしているフシもある。ここにはもはや、詐欺を通り越した“柏原芳恵商法”とでも呼ぶべきビジネスモデルができあがっていると言えるだろう。騙しありきで展開するキャリア。


目を逸らさずにはいられない!? リングの“着エロ・キング”辰吉丈一郎
「負けたのは双子の弟」
「不細工な試合してすんまへん」
「『作品』は完成していない」

 …などなど、幾多の名言を残し、負けても負けても“再起”を繰り返す。観客もそのたびに「次こそは」の思いとともに試合を観る。辰吉丈一郎は、さながら“リングの柏原芳恵”と言えまいか。「いつになったら脱ぐ(勝つ)んだおまえは」と思わせつつも、目を逸らさずにはいられない存在として。

 ただ、決定的に違う部分がひとつある。これはつまり、辰吉のタチの悪さでもあるのだが。それは、たまに本当に「脱いで(勝って)しまう」ところだ。しかも、観る者を興奮の坩堝に叩き込む形で。いい例が、97年11月にシリモンコン・シンワンチャー(タイ)を番狂わせのTKOで破り、(暫定王座を含む)3度目の世界王座に就いた試合だろう。

「もう終わってる」「またかよ」とか散々に言われながらも、たまにこういうことをやってしまうのが、この男の“食えないヤツ”なところだろう。

 そして辰吉はある意味、元祖“リングの着エロ・クイーン(男だからキングか)”でもある。

 デビューしていきなり、とんでもないものを我々に見せつけたこと。そして、「この先、どれだけすごいものを見せてくれるんだろうか」と思わせてくれたこと。さらに、不運も手伝ったが最終的にそれが尻すぼみで終わったことも、“着エロ・アイドル”の行く末を暗示しているではないか。

 それでは、辰吉去りし後のリングを代表する“着エロボクサー”は誰か?

 きらめくような才能の断片をチラチラと見せながら決して全開にしない「才能のチラリズム男」、トラッシュ中沼とも思ったのだが、もうひと息だ。ならば、誰がその座に相応しいのか? それはこの男をおいて、他にいないだろう。

 そう、名門・帝拳の看板スター、としおか…じゃない、西岡利晃だ。

 ルーキー時代から、閃光のスピードと溢れるセンスを見せつけ、「世界チャンピオンになるのは当然」と豪語。我々も「その瞬間」を心待ちにしていた。そして一瞬とはいえ“全部脱ぎ”に近づいたこともある(2001年の対ウィラポン第2戦)。4度の挑戦失敗を経ても、いまだに期待を集めてしまうところも、ジらしまくる「露出度高め系」のグラビアアイドルみたいではないか。

 9月3日のペドリト・ローレンテ戦を完璧に片づけて、5度目の挑戦を実らせ“脱・着エロボクサー”を果たすことを願いつつ、今回は締めさせていただく。

 これでいいのだ。

[2005/08/11 記]



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