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[参加者のみなさん]
●三好秀樹/たぶん死ぬまで「次はどこへ行こ…」と思い続ける34歳。この10年で海外渡航数は40回超(当サイトでその「怪遊記」連載中)。人生これのみ?
●鈴木保志/プエルトリコへトリニダードを観に、さらにサンチェスの故郷・メキシコをも訪ねた30歳。何を思ったか、そろそろ観戦狂を“卒業”する予定らしい。
●下里淳一/父の影響で幼少時よりボクシングに親しむ45歳。海外観戦歴はまだなし。
●安藤 茂/デザイナー、34歳。海外観戦歴はないが、もちろん興味は津々。三好氏の狂いぶりにも?興味津々。
●下堂伸二/フリーライター。海外観戦歴は1度。そこでタイソンの耳噛みを目撃させられて以来、腰が引け気味。
いきなりチケットブローカー −−マイク・タイソンの試合など海外の大きな試合では、大手旅行会社が観戦ツアーを組むこともありますが、今回は「できればツアーじゃなくして見に行くにはどうしたらいいの?」、ということをエキスパート2人に教わりながら進めていきたいと思います。三好さんは、まだ行ってないところはどこだ、というぐらい、とにかくあちこちに行き続ける人で、鈴木さんは回数では三好さんより少ないですが、みんなが行かないマニアックなところへ行っている方です。どうぞ、なんでも質問を。 下里 チケットはどこで買うんですか。あれは会場で直椄買うわけじゃないんですよね。日本でいう「ぴあ」みたいなものがあるんですか。 鈴木 そうですね。そういうチケット販売を代行しているようなところもありますし、後はカジノとか興行をする場所に直接連絡を取って「チケットを買いたいんですけど」と。そうすればチャージのかからない正規の値段で買えたりしますね。 下里 観戦初期の頃は2人ともかわいくツアーで行ったんですよね。で、高いとか理由があって自分で何とかできないものかと考えたんですよね。僕らからするとどこにアプローチすればいいのかがまず分からないんですよ。それは自分なりに調べたんですか。 三好 僕は、旅行のガイドブック見たのが最初です。そこにボクシングじゃないけど、メジャーリーグとかフットボールのチケットを扱っているブローカーの紹介が出ていて、そこへアクセスしたんです。そこで「ボクシングでもお願いすることはできるんですか」という問い合わせから始まって、その「ブローカー」という存在を知った、という感じです。 下里 ブローカーなんて存在、初めから分からないですもんね。 −−合法のダフ屋みたいなもんですか? 三好 そうです。 下里 三好さんがアプローチしたのは日本の人ですか。 三好 サンフランシスコにオフィスがある日本人のブローカーです。 安藤 そういうのがガイドブックに出てたんですね。 三好 そうです。 −−最初のアプローチはどんな方法をとったんですか。サンフランシスコ事務所に直接電話でもしたんですか。 三好 そうです、国際電話で。で、用件を言うとパソコンか何かですぐ調べてくれて、「これなら幾らくらいで取れます」って、即答みたいな感じで教えてくれて。 安藤 言葉は日本語で大丈夫だったんですか。 三好 ええ、すべて日本語です。 −−鈴木さんはインターネットを使うことが多いんでしたっけ。 鈴木 そうですね。僕も最初は旅行のガイドブックを見ました。いろいろあるじゃないですか、「電車で旅したい人」のコーナーとか。そこの「スポーツ観戦したい人のために」っていうところで、チケットのブローカーのアドレスが出ていたので、僕は三好さんのように電話ではなく、インターネットでアプローチしました。 −−鈴木さんの場合も在米の日本人ブローカーだったんですか。 鈴木 そうですね。返事が返ってきて、いくらくらいのチケットがあるとか、その席は会場のどのあたりだとかという情報を送ってきてくれる。それが「オール・アメリカン・チケッツ」という会社です。 −−ブローカーから購入するということは、正規のチケットの額面に、当然いくらか上乗せされるんですよね。 鈴木 そうです。それもちゃんと教えてもらって、正規の値段がいくらで、チャージした値段がいくらでといった感じで。 安藤 チャージの比率というのは同じなんですかね。 鈴木 それは入手難易度によって違ってくるんじゃないですかね。 −−もし会話する以外にもなるべく外国語を使わずに取りたいと思えば、鈴木さんからみると、おそらくそこがベストだと? 鈴木 そう思いますね。 下里 そこはすべて日本語で大丈夫なんですね。 鈴木 大丈夫です。 −−他に日本語でやり取りできるところ知らないですか。 鈴木 僕が利用しているのは、そこと「チケットマスター」です。英語ですけど、たしかあそこはほとんどチャージをとらないはずです。 下里 それじゃ“チャージ”という上にのせられる分はブローカーに言われるがままということですか。 鈴木 しょうがないですね、それがアメリカのシステムですから。 −−そうなると「ブローカーに連絡してみては」とも勧めにくいですね。「ブローカー」という響きもね(笑)。ところで、チケットはいつ送ってくるの? 鈴木 それが送ってはくれないんです。メールすると予約番号が帰ってくる。それを会場の「ボックス・オフィス」に提示して引き換えてもらうんです。 安藤 会場渡しですか? それは不安といえば不安ですね。 鈴木 そう、不安なんですよ。郵送してもらって、持って行ければいいんですけどね。 それでもツアーより割安 −−デラホーヤ対トリニダードのとき三好さんはツアー、鈴木さんは個人でそれぞれ行ったそうですけど、かかった費用はどれくらい差がありましたか。 三好 僕は、ツアーへの支払い総額で35万円くらいでしたね。 −−鈴木さんはどうでした。 鈴木 20万円もいかないですね。10万円前半だったんじゃないですかね。観戦の席も一番後ろの席だったんで。まあそれでも4、5万円払いましたけど。それと航空チケットが9万円くらいでした。 下里 4、5万円のチケットって言うのは、正規の値段はいくらぐらい? 鈴木 その半額くらいでしたね。 鈴木 結構高かったですね。1000ドルのチケットでした。それで中段よりちょい 上の席だったかな。 −−額面1000ドルのチケットでそれくらいの位置ですか。その時のツアーの費用は? 鈴木 38万くらいでした。ちょうど三好さんの時と同じくらいですね。 −−それはホテル、飛行機、チケットすべて入ってですね。 鈴木 そうです。そして3ラウンドに耳を噛んで終わりです(笑)。 安藤 凄い“オチ”ですね。 鈴木 でも添乗員の人は、その1000ドルのチケットを手に入れるのに「その倍はかかってるんだよ」って言い方をしてましたね。 −−やっぱりそれはしようがないのかな、価値の高い試合になると。そのとき三好さんは個人で行っていたんですよね。チケットはどれくらいだったんですか。 三好 800ドルくらい払ったはずです。額面はよく憶えてないんですが、500ドルくらいだったと思います。 安藤 やっぱり倍近くにはなるんだ。 クセになる本場の雰囲気 安藤 別に私は行きたくないという意味ではないですが、そこまでして行きたいと思いますか? 下里 観てはみたいとは思いますね、やっぱり。 −−行くとすれば、一番重要なのは対戦カードですか。 下里 そうですね、やっぱりどんなカードか、ですね。 −−あとは金銭的な問題? 下里 それもそうですね。 −−じゃ、これ以内ですむなら考えようかなっていう額はどれくらい? 下里 やっぱり10万から15万円くらいですかね。それでも敷居が高いです、まだ海外自体にも行ったことがないので。いきなり外国に行って、自分でチケットを取って、というのはちょっとまだ信じられないですね。 −−海外に一度も行ったことのない人にとっては全てが初めてだから、ツアーじゃないと恐いというのはあるでしょうね。 下里 私も、どうせ行くんだったら試合はもちろんですが、出来れば向こうのジムとか、ボクサーの育ったところとか、つまんない所かもしれないけどそういう所に行ってみたいと思ってるんですよ。試合の合間に。私の場合、観光なんてどうでもいいんです。普通のツアーだとたぶんそういう所は回らないで、試合みて、カジノで遊んで、近くの観光地に行ってとなるんでしょう。でもそれじゃなんかつまらないというのがあるんですよね。 −−密度の濃いボクシング観光みたいなものですね。 下里 うーん。そっちの方に行きたいなと思って。ただ分からないからちょっと怖いじゃないですか。どうせ行くなら普通の観光をしてもつまらないな、というのがあるから。 安藤 あのへんのジムで、向うの選手はどういうトレーニングをしているのかというのは興味ありますよね。 下里 よっぽど気持ちがこう…「好きでしょうがない」っていうくらいにならないと、「行こう」と思うのは簡単だけど、それを行動に移すのは凄いと思うんですよね。 安藤 そうですよね。 下里 本当は行って見れればいいんだけど、そこまでの手続きが分からなくて、おっくうだし、テレビで見てれば綺麗に見えるし、と思っている人が結構いると思うんですよ。そういう人たちを行きやすくするための企画を作るようなところがあって欲しいな、というのがありますよね。 −−腰を上げてみようか、という気になれるようなね。 下里 それとファンになり始めた時ってミーハーじゃないですか。そういう時に行かないと、行くチャンスがなくなっちゃうかなとも思うんですよね。だから、鈴木さんたちみたいな人はいないんじゃないですかね。 鈴木 日本では味わえない雰囲気があるんですよね。それを味わいたいっていうのがあるんじゃないかな。 安藤 「そこにいたい」っていう欲望ですか。 三好 そうそう、たとえそれが1番後ろの席でもかまわない、みたいな。 安藤 本場の雰囲気を味わってクセになったとか? 三好 それはありますね。タイソン対ホリーフィールドの1戦目を観にいったときなんて、ジミー・レノン・ジュニアのアナウンスや、国歌斉唱でもうゾクゾクしちゃうんですよね。 下里 それは日本での世界戦のときとは違うものですか。 三好 全然違いますね。ちょっといやな言い方かもしれませんが、行った者にしか分からないかもしれませんね。 鉄人は、2泊4日で休み無し −−三好さんは気が弱そうに見えますが、一人で南アフリカやヨーロッパにも出掛けてしまう逞しい人なんです。で、どこへ行って、誰のカード見たというのを記憶しているそうで、数えてもらったら40回以上行ってるんですよね。どこかから帰ってきた翌週にまた行ったということもあったんでしたっけ? 三好 さすがにそれはないですねが、翌々週っていうのはあったかな(笑)。 安藤 仕事との折り合いはどうしているんですか。 三好 1人でやっている仕事ですから。期限までに終わらせればなんとかOKという。 下里 1回行ったら、3日くらい休むんですか。 三好 うーんそうですねー、でもラスベガスに行くんだったら休まないですね。金曜出て、月曜に帰ってくるパターンで。金曜は昼過ぎまで出勤して、月曜は空港から直接会社に行けば、週末ラスベガスに行っていたとは誰も思わないですね。思われないような工夫をしながらやってます(笑)。 下里 その日程なら、行って、試合を観て、帰ってくるというだけになるんじゃないですか。 三好 着いた日は向こうの金曜日で、ラスベガスには昼頃に着くから、1日半くらいは自由な時間がありますよよ。 −−試合を見て無効の日曜に出発して、日本に着くのが月曜日。2泊4日ですか、すごいですね。 安藤 ボクシングが好きで海外まで行く。そこまでやれる勇気ってすごいと僕なんて思いますね。 三好 いやー、そんなに大袈裟なことじゃないんですよ。最初は「行って楽しめればいいな」という気持ちだったんです。今はアメリカ以外の国にも行くようになったんですが、その国の観光もできるし、いろんな国に行ってみたいというのがあるのかな。ボクシングとプラスアルファーみたいな感じで。ただその積み重ねでこうなっているだけです。 安藤 逆に後楽園には行かないということはないですか。 三好 まぁ、時々行くくらいですね。 安藤 三好さんには、南アフリカやアメリカより後楽園ホールの方が遠いんじゃないですか(笑)。 三好 いやー、南アフリカはやっぱり遠いですよ(笑)。 鈴木 海外から帰ってきて2ヶ月くらいしか経ってないのに「ずいぶん行ってないような気がします」なんて言いますからね(笑)。 −−御本人は英語が「全然ダメです」おっしゃるけど、そんな人が行けるわけがないと僕なんて思うんですが。それに英語圏以外のところにも行っているでしょ。それがすごいんですよねー。 三好 中、高で習った文法を思い出しながら、それでもう片言ですから。 鈴木 僕はもう単語だけですからね。ポツポツ単語言って。それでも通じますから。 下里 よく、トラベル英会話みたいなのがあるじゃないですか。ああいうのを持って行ったりはしないんですか。 鈴木 単語だけですね。 三好 最初は図書館とかで勉強しましたけど、何回も行ってるうちに、こういう時はこういうフレーズ、っていうのは覚えてきましたね。 旅行雑誌を活用すべし 下里 航空チケットもすべて自分で手配するんですか。 三好 旅行雑誌とかを見て、安い金額のものを探して。 −−情報誌なんかをかなり活用しているんですね。 三好 同じ人に頼んでいると、融通をきかしてくれるようになるんですね、航空券も。「いろいろ調べたら、他社に安いのがあるんですけど」とかいうと、「じゃ、私のところもそこと同じ値段でやりますからうちで」みたいに。他でも、僕がそういうのが好きで行ってるということを知っていてくれて、「試合はまだ決まらないんですが、とりあえず席を押さえておいてくれませんか」ってお願いすると、本当は3日以内に申込金なんかを払わなければいけないんですが、「じゃ、試合が決まるまで待ちます」って言ってくれたりしてくれるんですよね。リピートしていると。そんなに大きな会社じゃないですよ。 安藤 大手の方が安いということもないわけですか。 −−鈴木さんも航空チケットについてはそんな感じですか。 鈴木 そうですね。僕も三好さんから教えてもらったところにお願いしているんですが、大手なんかより全然安いんですよ。 安藤 へー、そうなんだ。 鈴木 で、大手だと「3泊5日からじゃないと航空券の手配は出来ないんです」とか言われるんですけど、そこだと平気で2泊4日もやってくれるんで。 安藤 なるほどね。それで、航空会社の指定とかも出来るんですか。 鈴木 「ここならこれくらいです」ってかんじですね。 −−航空会社別の料金を提示してくれるということですか。 鈴木 そうです、そうです。 下里 その旅行代理店はどうやって見つけたんですか。ガイドブックに出てたんですか。 三好 旅行誌ですね。 −−そういうのを頻繁にチェックして、自分にむいているところ探すというのも大事なんですね。 鈴木 ネットで「格安航空チケット」とかで調べれば、そういうのがあるかもしれませんね。そういうので何軒かピックアップして、手当たりしだい電話して安いところを探すとか。 安藤 ネットだけで出来るものですか。会社を調べるだけで、やっぱり電話するっていう形になるのかな。 鈴木 いや、会社のホームページもあるし、そこから出来るんじゃないですかね。 −−代理店によって得意な地域なんていうのはあるんですかね。アメリカとか、ヨーロッパとか。 鈴木 そういうのはないんじゃないですかね。逆に大きな会社のほうがうるさいかもしれないですけど。実際、三好さんは、南アフリカもやってもらったんですもんね。 三好 本来ああいうところはセクションが分けられてますよね。アメリカ担当とか、ヨーロッパ担当とか。でも僕が頼んでる2つの会社の人は、どこの地区も全てやってくれますね。何でセクションが分かれてないのか分からないんですが(笑)。 損害を被ることも −−そういえばドタキャンや延期がありますよね、日本と違って海外は。アキンワンデなんて肝炎で前日に中止決定でしたっけ。確か三好さんはあの試合にも行っていたんでしたね。それはガクッときますよね。 三好 放心状態ですよ(笑)。 −−そういう時って、個人で行くが故のリスクっていうのもありますよね。 鈴木 試合10日前くらいになると気がかりでしょうがないんですよね。「延期」とか書いてあったらどうしようって、スポーツ新聞を見るのが怖くて(笑)。 下里 でも、そういうどきどき感がまたいいとか。 鈴木 いやー(笑)。 安藤 そういうことはないにかこしたことはないですよね。そんなドキドキはしたくない? 鈴木 ええ。 −−ドタキャンのような時は、おそらくツアーで行く予定にしている人より損をする額は個人で行く予定にしている人の方が大きいでしょうね。大手の旅行会社のツアーなら保障もしっかりしてるでしょうし、利用者に不利益になるようなことはあまりないでしょうから。 下里 初めて行くっていう時にそんなのくらったら、立ち直れないですね(笑)。 英語圏以外はさすがに厳しい −−初めて個人で行ったときに失敗したことなんてありますか。…ないから続けているんですかね。 鈴木 うーん、アメリカだったら乗り継ぎとか面倒でも、空港の中に日本語の分かるガイドさんとかいますし、他のツアーの添乗員とかがいるので、分からないことがあったときは、そういう人に聴くことが出来るから。そういう意味ではアメリカは心配することないと思うんですけどね。 −−なるほどね、初心者でも比較的安心だと。 鈴木 ラスベガスみたいに日本人が沢山訪れている所は、現地の人も気軽に声をかけてきてくれるし。だから三好さんみたいに英語圏以外のところに行っていることが凄いなと思いますよね。僕なんてメキシコに行ったときなんて、ホントひどい目に遭いましたよ、いろいろ。数字さえ分からなかったですからね。 安藤 でもサンチェスの実家に行ったんですよね。どうやっていったんですか。 鈴木 偶然なんですよ。知人の紹介で現地の人を紹介してもらったんです。でもメキシコに着いて電話をしたら連絡が取れなくて。もうその時点でホテルで頭抱えてたんです。どうしようかってホテルをうろうろしていたんですが、フロントの人くらいはさすがに英語が話せるんですよね。で、話してると、たまたまそのホテル専属のタクシードライバーが大のボクシングファンで。辞書を引いて単語を書いたり、お墓の絵を描いたり「サンチェス・ハウス」とか「サンチェス・オハカ」なんて必死に言ってると「ああ、知ってる、知ってる」みたいな感じで。偶然というか、奇跡みたいでしたね。 下里 それでほんとに通じてたのか…。まあやっぱりそのときは、スペイン語の辞書は持っていったわけですか。 鈴木 さすがに持っていきましたね。それで単語で。 下里 そういう世話を焼いてくれる人がいればいいですよね。 −−そういう出会いに恵まれるのが一番いいのかな。 安藤 その通り手配されてましたか。 鈴木 されてましたね。 −−ラテン系って当てにならないって言いますからね。そう言っておいて、手配されてなかったり、忘れてたりするんですよね。 鈴木 その時も、最初「ボックスオフィス」でチケットが見つからなくて、「やばい」とか思ったら、担当の人に電話を入れてくれて、何とか見つかったんです。 安藤 最低限の逞しさは持って行かないといけない、ということですね。 鈴木 あの時は友人と2人だったんです。その友人も英語も話せないんですが、ひとり友人がいるといないとでは気持ちが全然違うんですよね。 下里 気持ち的に、孤独感が薄れますよね。 三好 鈴木さんは逞しいですよ。私なんてビクビクしながら行ってますから。 −−メキシコではメキシコ・シティでも今はあまり治安が良くないらしいですね。 鈴木 僕も暗い道を歩いていたらいきなり出てきて、まくし立てられましたよ。「何言ってるか分かんないよ」って日本語で言ったら離れましたけどね。それでもずっと着いてきてましたね。 −−行きたくなくなってきましたか(笑)。 下里 英語圏外はちょっとまだ。 −−「まだ英語なら」っていうのはありますよね。 下里 そう、知っている言葉も多いし。 安藤 三好さんは、英語圏以外の所に行くときはどうしているんですか。やっぱり英語ですか。 三好 そうです。 −−英語で応対してくれる? 三好 公共のところは大丈夫なんだけど、地元の年配の人はちょっと…。若い人は話す人が多くなっているみたいです。 下里 怖い目に遭ったことなんてないんですか。 三好 タクシーでボッタクられたことなんかはあるけど、怖い目というのは全然ありませんね。 お勧めはモーテルチェーン −−泊まりは、宿はどうするんですか、三好さん。先に決めていくんですか。 三好 ガイドブックで泊まりたい場所の宿をピックアップしておいて、現地についてから決めます。 安藤 予約はしないんですか。 三好 しないですね。 安藤 どうして? 現地で探したほうが安くつくからですか。 三好 本当にたどり着けるかどうかという不安もあるし。今までも、行ってなかったこともありましたからね。建物自体が存在しなかったとか、建物はあるけどホテル名が変わっているとか。 −−三好さんの場合、基本的に宿は現地についてから決めるということですね。でも、それは「初心者」の人にはお勧めできないですね。それで野宿したこととかあるんでしょ? 三好 一晩中歩いたことがあったり、空港で寝たことがあったり(笑)。 −−鈴木さんはどうしているんですか。 鈴木 先に取りますね、必ず。モーテルとかですよね、安上がりにするために。 −−それはどうやって予約するの。 鈴木 ネットですね。 下里 それはインターネットで、どういう手順で調べるんですか。 鈴木 僕は「モーテル」で調べますね。するとモーテルのチェーン店みたいなのがでてくるんですよ。で、各ホームページを開いて、自分の行きたい所に一番近いところを探すっていう感じですね。値段は大して変わらないんですよ。大手のチェーン店なら、日本で電話予約できるところもあるようですよ。 −−それで住所を控えておいて現地で探すわけだ。 鈴木 そうですね。まぁ、面倒ならタクシーを捕まえて連れて行ってもらうとか。初めての人が一番怖いのは、やっぱり治安なんじゃないですかね。行ったことがない人が、1人で行く上では。 下里 手続きでしょ、お金と言葉、それと生活習慣みたいなもの、あとそういうセキュリティーみたいなもの。このあたりですよね。このあたりがハッキリしていれば、腰を上げるようになるんじゃないかな。 観戦チケットの相場って? −−お二人がこれまで経験した中で、チケット料金の高いのはヘビー級とデラホーヤが絡んだものですか。 三好 格別ですよね。ヘビー級はいくら安く見ても1000ドルくらいはいっちゃいますよね。 安藤 ヘビー級というだけで? 三好 ジョン・ルイス対ホリーフィールドでも高いと1000ドル以上しましたからね。中止になった中国あったじゃないですか。親戚が中国で働いているので取ってもらったんですが、一番安い席で100ドルでしたからね。中国の物価から見て100ドルっていうのがどれくらいのものかは分かりませんけど。 下里 その特別な試合以外の世界戦チケットっていうのはだいたい幾らくらい取れるものなんですか。 三好 日本円にして1万から1万5千円くらいじゃないですかね。第三国になると数千円で観れたり。 −−じゃ、ポーランドのときは安かったんですか。 三好 いや、あれは高かったですね。ミヒャエルゾウスキーのは、ポーランドで初めての世界戦だったんですよ。1万5千円くらいでしたね。それで放送席のすぐ後ろくらいでした。何でこんないい席なんだ、出来れば後ろで良いからもっと安い方がいいのにと思ってたんですけどね(笑)。リングに入るときなんか僕の目の前を通って行きましたからね。カメラを従えて。 −−じゃ、試合のチケット自体は、日本で世界戦を観るときとそんなに変わらないわけですね。そういうところの試合のチケットも先に出たところに頼むんですか。 三好 ヨーロッパはほとんどその場ですね。イチかバチかで 下里 えっ、行ってから。さっきのブローカーの話はアメリカだけの話ですか。 三好 アメリカと、ヨーロッパでも中心都市ですね。 −−逞しいですね、やっぱり(笑)。 安藤 ボクシングって他のスポーツに比べて高いんですかね。 −−ビックイベントは高いんじゃないんですかね、やっぱり。 安藤 面白い試合をやってくれれば良いですけどね。耳噛まれて終わりじゃあねー(笑)。 鈴木 それはそれでね。変な話、中途半端な反則して終わるよりはってね(笑)。我々は中段より少し後ろだったんですが、何が起こったのかさっぱり分からなかったんですよね。 安藤 スクリーンはあるんですよね。 鈴木 それはあります。 安藤 それでやっと分かったんですか。 鈴木 そうですね。20分くらいは分からなかったですね。ホリーフィールドはさっさとリングを降りていくし(笑)。いろいろな意味で印象に残る試合の一つですね。 情報は、やはりネットが速い −−鈴木さんはインターネットをかなり活用はしているみたいですね。 安藤 インターネットが普及する前から行っていらしたんですか。 鈴木 僕はネットを始めてからですね。 三好 僕はアナログです。今もそうです。でもインターネットの情報は早いですよね。誰と誰がやることになったとかいう。 安藤 そういう情報はやっぱりインターネットですか。何で調べます? 三好 「ファイトニュース(http://www.fightnews.com/)」ですね。「ファイトニュース」の次が「セコンドアウト(http://www.secondsout.com/)」っていうやつ。 下里 それは海外ですか両方。どっちも英語ですか。 三好 そう、英語です。この「ファイトニュース」とかのスケジュールを見ていると、アメリカが中心ですがそのカードの下にチケットの電話番号が出てたりしますね。 −−使ったことはありますか。 鈴木 ないですね。 三好 イギリスのシルクプロモーターの広告にも電話番号が出てたりしますね。 まずはラスベガスから 下里 話は変わりますが、体調管理とかに関して何か気をつけていることはないですか、食べ物などで。 鈴木 食事はファーストフードが多いですね。そういう面でもラスベガスは居心地いいですよね。どこのホテルも「ビュッフェ」になってるから。入り口で5ドルくらい払えばいいだけですから。 −−日本で言うところの「バイキング」ですね。そんなに安いんですか。 鈴木 安いところはそのくらいですね。レストランとか入りづらいじゃないですか、言葉が分からなくて。その点「ビュッフェ」なら、自分の取りたいものだけとって、食べてっていうだけだから、食事面ではそんなに困らないですよね。空港からも近いっていうのもラスベガスのいいところですよね。 −−基本的なことなんですけとかで行っちゃうんだろうけど、普通は飛行機をとるにしても3泊以上の方がとりやすいわけですよね。試合の何日前に入るとか、どういう日程が理想的だと思いますか。 三好 前日か、前々日でしょうね。−−なるべく前日入りで、翌日試合を観て、その次の日がフリーで帰ってくるというのがちょうどいいのかな。試合の前後1日はフリーに動けるようにしておくことが望ましいということですね。 三好 ゆとりがある方がいいですね。 下里 人によって1人がいいという人と、いや、1人じゃ寂しいっていう人がいるじゃないですか。いろんなことが分からなくて不安というのではなくて、分かっているけど1人だとちょっと寂しいとか、詰まんないから複数で行きたいとかね。それと分かっていれば1人でいいんだという人がいると思うんですよね。 鈴木 困ったときも日本人が結構いますから。ラスベガスは夜でも外に出られるというか、治安がいいという意味でもいいですね。よっぽどへんな所に入っていかない限りは。ラスベガスは他のアメリカの街と雰囲気が違うんですよね。 −−三好さんが一番ゾクゾクくるところっていうのはどの瞬間ですか。 三好 ゴングがなる瞬間と国歌斉唱かな。そうか、国と国とが戦うんだなって感じの。 −−鈴木さんは。 鈴木 そうですね、リングの中央に選手2人がレフリーに呼ばれて、その声をマイクが拾うじゃないですか、あのあたりですね。 あきらめる理由は「死」? 安藤 おふたりは、これからも海外観戦を続けていくんですか。 鈴木 いいえ、僕はもう辞めようと思っています。 安藤 へ? どうしてですか。 鈴木 どうしても行きたかったメキシコとプエルトリコに行けたので。もうトリニダードのように「応援したい」と思う選手は出てこないと思うんです。 安藤 トリニダードが復帰すれば? 鈴木 うーん(苦笑)。 安藤 三好さんはどうですか。 三好 まぁ、こんな感じで続けようかなと。 安藤 辞めようと思う時があるとすれば、どんなことがキッカケになると思いますか。 三好 ん〜。「死ぬ時」ですかね(笑)。まぁ、それは冗談ですが、体が辛くなった時は考えるかもしれません。 −−どうでしょう、「海外観戦に行ってみたい」と思いながら二の足を踏んでいる人にアドバイスはありますか。 鈴木 やっぱり、「行きたい」という気持ちどれだけあるかってことですね。 −−結局はそこに行き着くんでしょうか。 鈴木 たまたま僕はその気持ちがとても強かったから、インターネットで調べてやっただけで。連休があれば、それに一日有給休暇をつければ行けるわけですから。 −−あとは、仕事と休暇と懐の都合ということですか。みなさん、今日は長時間ありがとうございました。
三好 分からない、分からない。日本にはないですからね。要するに正規のプレミアチケットをとるというのが。
−−タイソン対ホリーフィールドのときも、チケットの額面はやっぱり高かったですか?
鈴木 プエルトリコにトリニダードの試合を観にいったときも、スペイン語の「チケットマスター」だったんですが、何回やってもダメだったんです。で、メールできるようだったので、そこに英語で「スペイン語が分からないから何とかしてくれ」みたいなことを書いたら、英語ができる担当の人から、「手配しておいたから」っていう返事が来たんです。
−−話をまとめてみると試合数も格段に多いし、一番のお勧めは、やはりアメリカということでしょうか。中でもラスベガスは1人でも難易度は低いし、行きやすいよ、と。当然、個人責任は伴いますが。
これまで「行きたい」と思っても、なかなか一歩が踏み出せなかったボクシングファンのみなさん、いかがだったでしょうか。“鉄人”2人の経験は、スゴすぎて参考にならない部分があったかもしれませんが、「行きたい」気持ちを大切にしてぜひ一歩踏み出してみよう!
※2003年3月、編集部にて
構成/下堂伸二