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〜時には取材者のように!?・海外ファイト[ビデオ]観戦記〜
=September 25, 2005=
--vol.11-- “World Premium Boxing”
=Yokohama Arena, Yokohama=
海外じゃなく、ビデオ(録画してあとで見たけど)でもないですが、久々ナマ観戦編です。…ついでに、Ring Sideでもなかったです。
横浜アリーナが甲子園球場になった――。
あれはもう9年半以上も前になるのだと思い、遠い目をしてしまった。開場時間のはるか前から巨大なアリーナを取り囲む行列。ラッシュアワー並みの混雑で、先頭にたどり着いたときには既にパンフレットが売り切れていた物販ブース。そして、タイガースのはっぴを着てラッパや太鼓をけたたましく鳴り響かせた応援団。そして何より、会場の最後尾まで埋め尽くされた観客。
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| この試合が、横浜アリーナでのボクシング初興行! |
1996年3月3日、WBC世界ジュニアフェザー級タイトルマッチ。メキシコのダニエル・サラゴサに、2階級制覇を目論んだ辰吉丈一郎(大阪帝拳)が挑んだ日だ。試合の結果はご存知のとおり、血に染まった辰吉の惨敗ではあったが、この10年間で試合会場があれほどの高揚感に包まれた現象はないだろう。すべてを観たわけではないけども、おそらくない。
世界戦は1組。主役は、辰吉1人。畑山隆則(横浜光)と坂本博之(角海老宝石)のような「ダブルキャスト」でもなければ、世界戦2組&アトラクション数組といったボリューム感もなかったのだ。
そしてこの日、2005年9月25日。私が手にしたいちばん安い5,000円のチケットに印字されたシートは“アリーナ”だった。そう、2階部分のスタンド席は完全封鎖…斜陽の日本ボクシング界が威信をかけて打ち出した今回の『World Premium Boxing』。
会場の横浜アリーナに足を踏み入れた瞬間の、確実にキャパの5割を切る客の入りに、編集部I氏と私、トシオカは、残念なことにまるで驚かなかった。会場に着くまでの光景が既に、この日の惨状を物語っていたからだ。最寄りの新横浜駅前にはいなかったダフ屋、入り口前広場の静寂、そして閑散としたロビー。これが現実なのだ。
ジェット風船が空虚に飛び交うなど、9年前よりもだいぶ小ぶりではあるが“甲子園”と化したこと、そして長谷川穂積の快勝を含め、KO決着の多かった試合内容に関しては割愛する。しかし、世界戦2組と国内屈指のホープの試合が3組、そして南米の強豪による100万円賞金マッチという盛りだくさんなプログラム、そして本場のリングアナがマイクを取ったにも関わらず、ダレた印象の強い興行だったように映った。
それは主として、進行・演出の拙さにあったのではないか。
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| ちなみにプログラムは無料配付。なかなかよろしいw |
付随してさらに象徴的であったのだが、試合と試合の間の「空いてしまった」10分ないし15分ほどの時間の使い方。これがお粗末なのだ。この日のように客が少なければ、混雑の少ない快適なトイレタイムにもなるが、全員がそうするわけではない。何をするでもなく、ただ待っていなければならない客への工夫がないのだ。小さなスクリーンに映し出される煽りの番宣だけでは、誰も煽動されはしない。せめてこの日、出場する選手の全キャリアから選りすぐったシーンをもっと大きなスクリーンで流すくらいのことをしないと、観客はただただ退屈して待つだけになってしまう。
演出面ではジミー・レノン・ジュニアをもっと活用するべきだったのではないか。せっかく大金(だと思うけど)を出して呼んできたのであれば、試合前のコールだけではいかにも消化不良だ。
10ラウンド途中で終わった「新井田豊(横浜光)対エリベルト・ゲホン(フィリピン)」。日本人リングアナに経過説明をさせるのはよい。問題はそこからだ。採点結果の発表はレノンがやるべきではなかったか。日本の教育レベルは、個人差はあろうけども採点結果を英語で聞かされてチンプンカンプンになるほどに低くはない。
まだある。今回は、来場した世界チャンピオンたちの紹介が一切なかった。せっかくマニー・パッキャオがフィリピンから来ていたにも関わらず、である。テレビ中継の解説陣だけでも浜田剛史、飯田覚士、セレス小林と3人。現役世界チャンピオンのイーグル京和だって来場していたのだ。空き時間を利用して、彼らを映像とともに紹介するくらいのことをしてもバチは当たらないはずだ。そして、世界の頂上を極めた者たちの最上の戦いこそが、近年の格闘技ブームに躍る観戦初心者たちへの絶好のアピールにもなるはずだ。
好カードを並べるだけではなく、「安くはないチケット代を払って来てくれたお客さんを徹底的に楽しませる」という姿勢。この日の横浜アリーナには、そういったある種の「奉仕」の精神が、まだ足りない気がした。試合でも、それ以外でもとことん満足して帰路に着いてもらう。人気タレントをイメージキャラクターに起用するといった小手先レベルの話ではない。
テレビ主導もちろんけっこう。しかしありのままを目にする、来場した観客に対しても、視聴率向上を意識するのと同じくらいの工夫と気配りをすべし、と思わずにいられなかった。あらためて、「安くはないチケット代を払って来てくれたお客さん」の一人として言いたい。主催者は、もっと根本的な部分から、もう一度、もっともっと「顧客満足度」を追求してくれることを切に願う。
[2005.9.29 記]