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〜時には取材者のように!?・海外ファイト[ビデオ]観戦記〜
=June 25, 2005=
--vol.09-- Floyd Mayweather vs. Arturo Gatti
=Boardwalk Hall, Atlantic City, NJ=
佐藤修のベスト・バウトはウィリー・ホーリン(アメリカ)戦だろう。そう、逆転KOでヨーダムロン・シンワンチャー(タイ)からWBAスーパーバンタム級王座を “奪ってしまった”試合ではなく、WBC王者に挑んで引き分けたほうの一戦だ。2度のダウンから息を吹き返し激闘に持ち込んだ、あの試合こそが佐藤修の真骨頂ではなかっただろうか。 佐藤には「世界」にこだわらず、ホーリン戦のような激闘をもっともっと見せてほしかった。また、それができる資質が彼にはあった。裏を返せばそれは、うっかり世界チャンピオンになっても長く君臨できるほどの力量はないが、その「少し下」のレベルで「おもしろい試合」をすることならできるということだ。実は、重要なのはこの点だ。 両国国技館、さいたまスーパーアリーナ、日本武道館…。最近、世界戦の興行が打たれた会場だ。残念ながらどこも満員になっていない。それどころか、閑古鳥が鳴いていたのは記憶に新しい。 私、トシオカの若かった頃は、世界戦というのはこんなに寂しいものではなかった。チケットは即日ソールドアウト…というところまではいかないが、まずまずの入りの会場。テレビは原則としてゴールデンタイムに生中継。それが「世界タイトルマッチ」というものだった。深夜の録画中継や、ましてやディレイ中継など、想像もつかなかった。いやはや、技術の進歩にはすごいものがある。 世界戦だけではない。国内レベルの試合でも、常に後楽園ホールに大勢の客を呼べるスターが多くいた。限られた予算のなかから「こんどはどれを観に行こうか」という楽しい悩みも尽きなかった。深夜に録画中継があるとわかっていても、観に行く。そういうものだった。 充実した国内レベルでの興行が、大舞台への期待感をつなぐ。その流れこそが、あるべき姿ではないだろうか。かつてと比べて会場に足を運ぶ回数が減ったのは、決して時間のやりくりがつかないだけではない。そこまでしてでも「観たい!」と思わせるシズルに欠けた興行が多いのが現状なのだ。 いま、必要なのは本当に世界チャンピオンなのだろうか。否、国内レベルでコンスタントに客を呼べる「ローカル・ヒーロー」こそが必要なのだ。そして、佐藤修こそがその座に相応しいボクサーだった…。世界レベルでは決して「強打者」ではないが、そこそこのパンチ力。ブロッキング以外に目を見張るものがさしてないディフェンス力を含めた、やや拙いスキル。そしてそれを補う勇気と闘志。ノンタイトルや地域タイトル戦で、存分に力を発揮できる選手のはずだ。この点にかけては最高のボクサーだろう。 本来「世界チャンピオン」とは、もう一段上のレベルの選手がなるべきものだ。佐藤の戴冠を貶めたいわけではまったくない。ただ、この次元の選手が“うっかり”世界タイトルを手にしても、その時点で先は見えているのだ。実際、「本物」の世界レベルを目の当たりにすると、子供扱いされてしまっていたではないか。せっかく奪ってもすぐに手放すのでは世界戦というイベント自体が定着しないし、なにより観客の失望を深めるのが関の山だ。 それよりも、何のタイトルがかかっていようといまいと「こいつが出るなら何をおいても観に行く!」と思わせる選手を、さらに言えばそういう選手同士の試合を国内レベルで増やしていく。それこそがこの国のボクシングにとって、急務ではないだろうか。世界戦は、その先のレベルにあるものではないか。 そう、この男なら真に「日本のガッティー」と呼ばれる存在になれるはずだったのだ。音田隆夫(トクホン真闘)ではなくて。そう呼ばれるには、それ相応のレベルの技術が求められるはずだ。そして、もう一段高いレベルを相手にすると子供扱いされてしまうような拙さも。 とまあ、いつものごとく本題に至るまでえらく長引いたが…今回、アルツロ・ガッティーがフロイド・メイウェザーに敗れた試合を見て、しみじみ思った。 あ、もうひとつ思い出した。戦前、メイウェザーはガッティーのことを「あいつは殴られすぎて顔が日本人みたくなってる」と言っていた。で、そうかなあと思いながらガッティーの顔に集中してビデオを見返してみた。ああ、こういう顔の日本人選手、いたじゃん! そうです、石井広三(天熊丸木ジム、元OPBFスーパーバンタム級王者)です。もう前言撤回、佐藤より石井の方がガッティーっぽいな。その血が沸騰するような激闘ぶりも、ワンランク上の選手に惨敗するところ(ラリオス戦ね)も。そして何より顔が似ている。 石井こそまさに『君こそ日本のガッティーだ!』大賞に相応しい。レフェリーに気を取られ、無防備の状態でパンチを喰らった今回のガッティーを見よ。ヨベル・オルテガ戦で拍子木の音をゴングと聞き間違えて、無防備でパンチを喰らいまくった石井とカブるではないか。 うーん、石井と佐藤で「アルツロ・ガッティー杯争奪・日本スーパーバンタム級激闘王決定戦」をやってほしかった…。 [2005.7.13 記]
ということではなくて…話を元に戻す。
“顔が日本人みたい”なガッティーを打ちまくったメイウェザー(右)
佐藤にはサリム・メジクンヌ(フランス)やクリス・ジョン(インドネシア)に蹂躙されるよりも、仲里繁(沖縄ワールドリング)や西岡利晃(帝拳)、中島吉謙(角海老宝石)らと激闘を演じる道を選んでほしかった。
[激闘王]ガッティーにまったく激闘させず一蹴。メイウェザーは無敗街道を驀進中!