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■妄想家・夏野澤夫の架空小説 〜ばかばかしいけど、真剣!〜■

夢想世界バンタム級タイトルマッチ
[辰吉丈一郎 vs 鬼塚勝也]

←第5章

第6章  完 結


「なんやこれ、アホか! こんなんおかしいで」

 コントローラーをほうりだして、辰吉はぼやいた。

“ドラマチック・ボクシング”と題されたパッケージがころがっている。

 鬼塚はまだコントローラーをいじりながら画面の変化を追っていた。

「設定がおかしかったんかなあ」

「なんの設定や」

「いや、おれの方は汚いボクシング、負けないボクシングにしたんけど」

「おれは?」

「天才、カリスマと入れたんけん」

「そんなんちゃう」

「P設定もしてあったし」

「なんやそれ」

「パウンド・フォー・パウンド、体重同じにせんと…」

「そんなん関係あらへん」

「あっ、これがいけんかったんか」

「なんや」

「日付」

「なんや」

「試合日を今日にしたけん。日にちを入れんと始まらんけん」

「そんなんどっちゃでもええことや」

「いや、きっとコンピュータが勝手に読み込んで。ジョー、目、やったんけん」

「もう治っとるわ」

 辰吉の不機嫌を見て、鬼塚はコントローラーをそっと置いた。

「なあ、オニ」

 ややあって辰吉が声をかけた。隣で同じくあぐらをかいていた鬼塚は辰吉を見た。

「うちらがこんなんしとるちゅうの、内緒やで。誰にも言うたらあかん。うちらはなーんも接触しとらんことにしておくんや。うちらが戦えばおもろいゆうこと、マスコミが書きはじめとる。やれ、言うんやったらそりゃやるで、オニもそやろ。ほんまにやるようになるかもしれん。テレビや金の問題あるやろし、ライセンスのこともあるやろから、簡単にはでけへんやろけどな。そやけど、仲エエより悪いらしいゆう方がおもろいやん」

 鬼塚は辰吉の目を見て聞いていた。

「パンツいっちょでリングに上がるゆうのがどういうもんか、やったもんにしかわからんのや。それでええやん。自分を見てくれるもんのためにリングに上がるんや。家族や会長やトレーナー、ほんまの友達にほんまのファン、それだけやない、自分を見てくれるもんちゅうのは、自分の中の自分や」

 鬼塚は真剣な顔つきだった。

「お、われながら、ええセリフや。オニ、今のセリフやるから、インタビューのときに使え。こういうクサイせりふはお前の方が似合っとる」

 鬼塚は、世界王座奪取以来マスコミには見せていない、邪気のない笑顔を見せた。

《 完 》


▼参考/採点表(・=10)

 辰 吉          鬼 塚 
 C  B  A      A  B  C 
 ・  ・  ・   1R   9  9  9 
 ・  ・  ・   2R   9  9  9 
 ・  ・  ・   3R   9  9  9 
 ・  9  9   4R   ・  ・  9 
 ・  9  9   5R   ・  ・  9 
 9  9  9   6R   ・  ・  ・ 
 9  9  9   7R   ・  ・  ・ 
 9  ・  9   8R   ・  9  ・ 
 9  9  ・   9R   9  ・  ・ 
 ・  ・  ・  10R  9  8  8 
 9  9  9  11R  ・  ・  ・ 
 ・  9  9  12R  ・  ・  9 
115 113 113  合 計 115 114 112 


〜次回作、はや構想中!? 時期未定ですが、いずれまた。お楽しみに!〜



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