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←第5章へ
コントローラーをほうりだして、辰吉はぼやいた。
“ドラマチック・ボクシング”と題されたパッケージがころがっている。
鬼塚はまだコントローラーをいじりながら画面の変化を追っていた。
「設定がおかしかったんかなあ」
「なんの設定や」
「いや、おれの方は汚いボクシング、負けないボクシングにしたんけど」
「おれは?」
「天才、カリスマと入れたんけん」
「そんなんちゃう」
「P設定もしてあったし」
「なんやそれ」
「パウンド・フォー・パウンド、体重同じにせんと…」
「そんなん関係あらへん」
「あっ、これがいけんかったんか」
「なんや」
「日付」
「なんや」
「試合日を今日にしたけん。日にちを入れんと始まらんけん」
「そんなんどっちゃでもええことや」
「いや、きっとコンピュータが勝手に読み込んで。ジョー、目、やったんけん」
「もう治っとるわ」
辰吉の不機嫌を見て、鬼塚はコントローラーをそっと置いた。
「なあ、オニ」
ややあって辰吉が声をかけた。隣で同じくあぐらをかいていた鬼塚は辰吉を見た。
「うちらがこんなんしとるちゅうの、内緒やで。誰にも言うたらあかん。うちらはなーんも接触しとらんことにしておくんや。うちらが戦えばおもろいゆうこと、マスコミが書きはじめとる。やれ、言うんやったらそりゃやるで、オニもそやろ。ほんまにやるようになるかもしれん。テレビや金の問題あるやろし、ライセンスのこともあるやろから、簡単にはでけへんやろけどな。そやけど、仲エエより悪いらしいゆう方がおもろいやん」
鬼塚は辰吉の目を見て聞いていた。
「パンツいっちょでリングに上がるゆうのがどういうもんか、やったもんにしかわからんのや。それでええやん。自分を見てくれるもんのためにリングに上がるんや。家族や会長やトレーナー、ほんまの友達にほんまのファン、それだけやない、自分を見てくれるもんちゅうのは、自分の中の自分や」
鬼塚は真剣な顔つきだった。
「お、われながら、ええセリフや。オニ、今のセリフやるから、インタビューのときに使え。こういうクサイせりふはお前の方が似合っとる」
鬼塚は、世界王座奪取以来マスコミには見せていない、邪気のない笑顔を見せた。
▼参考/採点表(・=10) 辰 吉 鬼 塚
C B A A B C
・ ・ ・ 1R 9 9 9
・ ・ ・ 2R 9 9 9
・ ・ ・ 3R 9 9 9
・ 9 9 4R ・ ・ 9
・ 9 9 5R ・ ・ 9
9 9 9 6R ・ ・ ・
9 9 9 7R ・ ・ ・
9 ・ 9 8R ・ 9 ・
9 9 ・ 9R 9 ・ ・
・ ・ ・ 10R 9 8 8
9 9 9 11R ・ ・ ・
・ 9 9 12R ・ ・ 9
115 113 113 合 計 115 114 112
〜次回作、はや構想中!? 時期未定ですが、いずれまた。お楽しみに!〜