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■『あしたのボクシング』三好秀樹の怪遊記【32】■

2001年7月28日@韓国・ソウル…と思ってた

WBC Lフライ級タイトルマッチ
崔尭三 vs ホルヘ・アルセ

2001年8月5日@首都体育館(中国・北京)…のはずだった

幻のWBAヘビー級タイトルマッチ
ジョン・ルイス vs イベンダー・ホリフィールド

 暑さ真っただ中の8月のある日、9月に予定されていた「トリニダード vs ホプキンス」戦を観に行く決心をした。しかしそこに到るまでの背景には、思い出したくもない事態がたて続けに起こっている。その始まりは遡ること数カ月前----。

 浮上しては消滅・延期を繰り返していた「崔 vs アルセ」の指名試合。最強の挑戦者といわれるアルセが隣国のソウルへ来るというので、期待に胸を膨らませていた。ソウルは金浦空港から、新しく開港して間もない仁川空港に変わっていた。

 半月前の1月にソウルを訪れた時に宿泊した「勇進旅館」に、今回も無事泊まることができた。早速、その時にお世話になった李さんに試合の確認をするため、表へと出た。恐る恐るプッシュホンを押すと懐かしい李さんの声が聞きとれた。ところが数秒後には、奈落の底へと突き落とされるような答えであった。

「あー、その試合はずい分前に中止が決まりましたよ!」

 李さんは日本からの電話と思っていたらしい。私がソウルまで来ているのを伝えると少々驚いていた。

「来る前に電話下さいと言ったでしょう!?」

 …確かに言われた通りであったので、返す言葉が見当たらない。受話器を置いても茫然と無気力状態に陥っていた。

 気持ちを切り替えられないまま、その後、2泊3日もどう過ごしたのか、あまり覚えていない。そういえば、うたた寝の途中にTV放送で、1週間後、中国で予定されていた「ルイス vs ホリフィールド」の記者会見を見た。

 失意のうちに帰国したその日の夜、友人から電話があった。「ルイスが首を痛めて、延期だってよ!!」

 思い返してみれば、ソウルで茫然とテレビで見たあの記者会見が、延期の発表だったのだ(と想像する)。5日後には北京へ出発予定だった。故宮、万里の長城、天安門広場、毛沢東の遺体etc…。

 楽しみにしていたものが一瞬にして水の泡となり、はかなくも消えてしまった。結局、その時に申請したビザは使われることもなく、今もパスポートに無情に貼ってある。上海に住んでいる義弟にチケットを取ってもらったのに、彼には迷惑をかけただけで、心苦しさいっぱいであった。

 立ち直るにも時間というものが必要であったが、暑さ真っただ中の8月のある日、いやな思い出を振り切るべく、9月15日にニューヨークで予定されている「トリニダード vs ホプキンス」戦を観に行く決心に到ったのだった。「9月15日」に予定されている試合を…。


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