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■『あしたのボクシング』三好秀樹の怪遊記【5】■

1996年11月9日@MGMグランドガーデンアリーナ(アメリカネバダ州ラスベガス)

「FINALLY」
WBAヘビー級タイトルマッチ
マイク・タイソン vs イベンダー・ホリフィールド


 91年(92年だったっけ?)当時、一度決定していながらも、タイソンのレイプ事件有罪判決の結果、収監されたため消滅してしまったカードだ。

 あの頃はまだ海外旅行に行ったことがないどころか、パスポートさえ取得していなかったにもかかわらず、“抽選でご招待”の募集を見て応募したものだった。時がたちタイソン服役後、キャッチフレーズ通り「FINALLY(ついに)」実現したのである。


 いつもチケットを依頼しているブローカーに予約してもらったホテルは、MGMグランドから1ブロックのところという話しだったが、交差点を横切り、「ニューヨーク・ニューヨーク」も通り過ぎ、続いてフリーウェイをも越えた場所に「キング8」というホテルの看板が回っていた。アメリカじゃこれでも1ブロックと呼ぶのか? 広い国だよ…。

 FEDEXで届いていたチケットを受け取り、ホテルの向かい側のマックに入って時間を潰した。封を開けて見ると、タイソン・ホリフィールド両者のイラストが印刷されたオリジナルチケットだった。こういうのは初めて。その日の会場はほんとうに立錐の余地もない、まさしく超満員で、今までに経験したことのない盛り上がりに、ゴングが鳴る瞬間は背筋がゾクゾクした。

 戦前の予想に反し、自分自身も応援したホリフィールドが勝ち、皆が興奮する中、会場を後にした。アメリカで何度かボクシングを見たが、これまでにない素晴らしいファイトだった。たまにはこういうこともあっていいと思う。

 興奮のあまり、誰かとその感動を分かち合いたくて、たまたま近くに日本人の姿が目に入って、勢いで食事に誘ってしまった。話しているうちに驚いたのが、お互いのチケット料金だった。アメリカのブローカーに直接依頼した自分より、日本のエージェントを通して依頼した彼のは2.5倍も高かったそうだ。しかも、たった3列ぐらいしか違わないというのに…。

 更に驚いたのが、翌日ラスベガス発のフライトで一緒になった観戦ツアーの人たちだった。ボクシングだけで数万円も払った人たちより、ラスベガスの後、サンフランシスコ、サンディエゴでNFLを観る予定にしていた自分の方が安くおさまっていたからである。幾人かに聞かれたのでいつも依頼するブローカーを紹介しておいた。

 人の役に立ててよかった。


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