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■『あしたのボクシング』三好秀樹の怪遊記【1】■

1993年9月10日@アラモドーム(アメリカテキサス州サンアントニオ)

WBCウェルター級タイトルマッチ
「パーネル・ウィテカー vs フリオ・セサール・チャベス」


 前夜、メジャーリーグの「ジャイアンツvsカージナルス」戦を観に行ったサンフランシスコから移動し、空港の案内所で地図をもらい会場の場所に印をつけてもらうも、その地図にはまだ何も書かれていなかった。

 不安ながら市バスでダウンタウンの中心らしいところまで来て適当に下車し街の人に聞きながら探した。たどりついたアラモドームは完成したばかりの巨大なドームだった。

 この試合はメキシコの独立記念日に合わせたビッグイベントで、7万人近いファンが入るだろうとのことだった。真ん中あたりの席だったが、デカい会場だったからリングは遠く感じた。しかしとなりのスペイン語でまくしたてる愛想のいいお父さんが時折、双眼鏡を貸してくれたりして助かった。

 前座の途中、売店に行くと、日本人らしき客に気がつき、そっと後について行った。渡米後一週間経っていた寂しさもあり、久し振りに日本語を話せるのではとの期待もあった。予想通り、日本からの観戦ツアーの人たちだった。ツアーコンダクターに話しかけてみると、驚いたことに、自分のチケットを手配を依頼したブローカー当人。こういう偶然もあるもんなんだ…。

 席に戻り、試合が進むうち、メインイベントが深夜になることに気づいた。ツアーの人達はバスが用意されているだろうけど、来るだけで精いっぱいだった自分はモーテルへの移動手段を考えていなかったので、えらく不安になったものだ。引き分けに終わった判定に不満をもらす人たちにまぎれて会場を後にすると、試合途中からの不安が持ち上がった。

 とりあえず地元客の流れに合わせて歩きながら考えを巡らせた。ヒルトンホテルの前まで来てタクシーを探すが、求める客に対して圧倒的にタクシーの数が少なすぎた。時間がどんどん過ぎ、ホテルの前で野宿も覚悟し始めた頃、タクシードライバーから声がかかった。夜中3時近かった。ともあれモーテルまで行けると思いとベッドに寝れる思いから、ようやく安心できた。あぁよかった。

 …これが、いまじゃ“観戦狂”とか揶揄される始まりになるとは…。観戦履歴の中から思い出すまま、観てきたままを書き記そうと思います。ちなみに観戦記ではなく、怪遊記です。あしからず。でも、みなさんよろしくおつき合いください。


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