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■EDITORS report 〜編集取材記〜■

=2005年5月28日(土)=
H's STYLE BOXING GYM エイチズ スタイル ボクシング ジム

= 東京・青砥 =

[ Report& Photo;R. Shimoyama The Future of Boxing JAPAN

* * * * *


 東京都葛飾区青戸にある、あるジムを訪ねた。京成電鉄京成本線「青砥」駅で降りる。改札を出て、駅に入ったショッピングモール沿いに歩いていく。途中、旨そうな韓国ラーメン屋を横目で見つつ、歩くこと2分弱、ビルの白い看板に「hsbg」の文字が見えてきた。

 今回、お邪魔するのは、世界挑戦の経験を持つ現役ボクサー吉野弘幸が主催する「 H's STYLE BOXING GYM エイチズ スタイル ボクシング ジム 」(以下hsbg)だ。今年の3月にオープンしたばかりのジムである。

 目的地はビルの2階だった。1階には焼き鳥バー「チキンジョージ」。洒落たバーで焼き鳥を食わすとは、なんだか不思議な感じである。世の中どんどんスタイリッシュな方向へ進んでいくねえ。「約束の時間までまだちょっと時間あるし、一杯…」と邪念を起こすと、「ちょっと、ちょっと!」同行した鈴木成章が慌てて制した。

 2階に上がるとジムはまだ開いてない。別の場所で時間をつぶし、再びジムのドアを開くと… 左手の受付に、このジムの主が座していた。


吉野弘幸会長
 ─────吉野弘幸さんだ。

 紛れもなく、日本ボクシング界に一時代を築いた“キング”。横を見ると、鈴木成章の目は子供のように輝いていた。彼は、1993年6月23日に行われたWBA世界スーパーライト級タイトルマッチ[吉野弘幸 対 ファン・マルチン・コッジ]戦を現場で目撃しているのだ。その光景は今も脳裏に焼き付いて離れない。

 簡単なあいさつの後、吉野さんの、ジム会長、指導者としての考え方、そして話は遡り、ワタナベジム在籍時の思い出を小一時間ほど伺った(この話の模様は、鈴木の連載で近いうちお伝えします)。


赤塚礼人チーフトレーナー
 会話の最中、何人も練習生がやって来た。

「おぉ〜、○○(名前)! 待ってたぞ〜。どうだ、最近は!?」

 会員一人一人に名前で呼びかけ、明るく話しかける。人が増えるに連れ、フロアの雰囲気がどんどん和やかなものに変わっていくのだ。自分がこのジムを好きになるのに、そう時間はかからなかった。話が終わりに向かった頃、

「うちで体動かしていくんでしょ? 林くん(ノンフィクションライター・林壮一氏)から鍛えてやってって言われてるからねえ(笑)」

 もちろん、ありがたいお言葉。ちゃっかり練習道具も持ってきてまっせ。

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ロープ&シャドー スペース


サンドバッグ

「どう、軽くマスでもしない?」

 まだ新しいサンドバッグを気持ち良く叩いてると、吉野さんから声がかかった。ついにきた。日本王座を14度防衛した名チャンピオンとリングでまみえる時が。なんて、だいぶ大袈裟だけども…。ジムのチーフトレーナーであり、こちらもワタナベジムのOBである赤塚礼人トレーナーにグローブをつけてもらい、スタート。


KOの山を築いた伝家の宝刀“レフトフック”
 リング上の吉野さんは、それまでの吉野さんとはまったく違う何かを身にまとっていた。向い合っただけで、そのプレッシャーに押し潰されそうになる。現日本ウェルター級王者・湯場忠志と対峙した時も、同じだった。よくマンガで、相手の発する“気”によって、相手がその体以上に大きく見えるという表現がある。これはウソではない。実際に2度体験してるのだから間違いない。人間の“気”は、現実を凌駕するのである。いや、それすらも現実なのか。

 大きな体が豹のように俊敏に踏み込み、日本最高峰のレフトフックが飛んできた。残念ながら今の自分のレベルじゃかわしようがない。なるべく動き、距離をとり、ジャブを出すようにつとめた。

「ボディは打ち込んでもいい」変則ルールのマスボクシングである。思いきってボディアッパーを突き上げてみた。長年鍛え抜かれた腹筋は壁のようで、拳の侵入を防ぐ。まるで手応えなし。吉野弘幸は両手を広げ、「もっと打ってこい」とうながす。

 自分、生来、頭に血が昇りやすい気質である。遠慮会釈なしにボディ連打。吉野、微動だにせず。相手をおいてグラブをつけるのは久し振りという吉野さんは体の動きを確認しながら、自分はディフェンス中心に、3Rをこなした。

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熱心なアッパー指導
 続いて吉野さんが2Rミットを受けてくれる。赤塚トレーナーのミット打ちなども見ていて分かった。どうやら「hsbg」では、両腕の素早い連打が基本。というのも、吉野さんの中に、ミット打ちとは、決まったコンビネーションを決めず、打ち手がパッパッと繰り出すパンチを受け手があうんの呼吸でもって受け止めていく、という方針があるからだ。

 これは、吉野弘幸、加山利治(元日本ウェルター級王者)を育てた飯田氏との、長年のコンビで作り上げてきたもののようだ。

「最初に左フックをもってくる時は、もっとフェイントをかけてからの方がいいよ」「相手がガードを固めてたら、中からえぐり込むようにアッパーを持ってきて」

 仕上げに細かい指示をもらって終了した。

* * * * *

「人にものを教える時、上からものを言うんじゃいけないよね。その人と同じ目線に立たないと。それと…」


子供から老人まで、吉野会長は会員すべてに優しいまなざしを向ける
「自分にウソつかず、正直な自分で向かっていくことだね」

 吉野流の人との接し方。これが決して偽善でないことは、このフロアの和やかな雰囲気を見れば分かる。ジムのスタッフに求めること、それは…

「まずは人柄。会員たちとのコミュニケーションが一番大事なこと。次が情熱。そのあとが指導の技術だね。うちのジムは新しいから、会員たちと一緒にトレーナーも上達していけばいいんだよ」

 東京都の下町に新たに芽を出したこの小さなジムは、これから先、花を咲かせ、そしてこの地に大きく根付いていくことになるだろう。人との交流に自信が持てない者、だぶついたぜい肉が気になり出した者が、ともに汗を流す。そして、練習後は1階の「チキンジョージ」で、流した汗よりちょっとだけ少ない量の酒を飲んで人生を謳歌する(笑)。心と体を鍛え、技を磨く、これこそがボクシングの、いやスポーツの原点じゃないだろうか。今回、「hsbg」を訪ね、そのことを再認識したのだった。

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 続いては、当サイトの連載「 鈴木成章のなんとなくマニアック 」をご覧下さい。吉野弘幸さんの魅力をさらにたっぷりとお届けしています! そして「H's STYLE BOXING GYM」に興味を持った方は是非、足を運び、ご自分の目で確かめ、その雰囲気を肌で感じとって下さい。

 

[2005.6.8 記]

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協力;H's STYLE BOXING GYM エイチズ スタイル ボクシング ジム



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