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■EDITORS report 〜編集取材記〜■

=2004年10月21日(木)=
決戦前! 鳥海純ロングインタビュー[前編]

= 東京・ワタナベジム =

30日(土)の長谷川穂積戦まで10日をきり、臨戦態勢万全の
鳥海選手と宮田トレーナーに直撃してきました!
(長い時間すんませんでした、感謝です!)

* * * * *

 本誌特派:霜山綾司(C級ボクサー),井上博雅---
[ Photo & Interview;Ryoji Shimoyama/Hiromasa Inoue The Future of Boxing JAPAN

* * * * *

Welcome! south-paw

−−何度も聞かれていると思いますが、サウスポーに対する苦手意識はないそうですね。

鳥海 全然ないですね。アマチュアでは半分くらいは左とやってたんで。

−−そんなに多かったんですか?

鳥海 多いですね。特にうちの高校(埼玉・花咲徳栄)がもう、半々で作ってたんですよ。部員が多くて…一学年30人くらいいて、そのうち半分はサウスポーつくって、半分はオーソドックス。

−−それは本来左利きの子じゃなくっても、そういうふうに?

鳥海 僕はまあ、たまたま左利きでサウスポー志願したんです。

−−それだけ周りにいると、たとえばスパーリングするにしろなんにしろ、相手がサウスポーだからやりにくさを感じたりとかは…


 
鳥海 全然ないですね。最初から、左に対して驚くとか、そういう環境じゃなかったんで。

−−違う風景に見えるとか聞きますけど…

鳥海 全然、全然。まったく違和感なかったです。

−−もう極端に言うと、右構えの人が右構えの選手とやるのと一緒ぐらいですか?

鳥海 一緒だと思います。そのぐらいの感覚だから。だから、よく相手も左だとやりにくい人とかいると思うんだけど、そういう感覚は僕には分からない。目が悪くない人が、目が悪い人の、よく見えないとかぼやけて見えるとかっていう感覚が分からないのと一緒だと思います。それくらい全然、気にならない。

−−それは確かに有利ですね。いろいろ話し聞いている限りでは、ほとんどの人が、サウスポー自身はサウスポーとやり慣れてないから、それ自体で噛み合わなくなることが多いって聞くんですけど…とにかくそういう違和感はまったくない、と?

鳥海 まったくないですね。

−−今回、長谷川選手とやるっていうのを正式に会長から打診されたのはいつ頃ですか?

鳥海 8月のアタマ・・・だったかな。

−−話を聞いてまず最初にどう思いました?

鳥海 うーん…聞いたそのときは、タイトルがかかってると思ったから、もちろんすぐやるって返事したんだけど、あとあとよく聞いたら、実はこういう大会で、タイトルはかかってないんだという風に聞いて「えっかかってないの?」っていう・・・ちょっと残念だったね(笑)。

宮田 やりたいっていうのはね、あったんだよね。試合したいと思ってたから。でもまさかね、このトリプルっていうのとは思わなかったですね。まあ、タイトルないにしろ、事実上はバンタムの最強決定戦だからね。そういう条件だからやりましょうって決めたわけだね。

鳥海 全部のカードが世界ランカー同士の、みたいな話しはまあ、そういう風には聞いてました。

−−じゃあちょっとピンときた? 勝った方が世界できるっていう

鳥海 まあでも、世界とかはね、全然…

宮田 勝った方が、バンタムのナンバーワンと認められるから。周りの人が認めてくれればいいなと思って、じゃあやろうかってなったんだよね。

−−その時点での長谷川選手に対しての印象というのは?

鳥海 もう決まる前からビデオ何本か見てたんで。まあ、速いですよね。やることになって、そのサウスポーに対してびっくりするとかじゃなくて、そのスピードにびっくりするっていう感じでしたね。

−−たとえば、そのビデオを何試合か見て、この人やっぱりサウスポーとやれば苦手そうだなっていうのは分かるもんですか?

鳥海 いや、そういうのはないですけど、このスピードはただもんじゃないなと(笑)。

−−常に追いかけちゃうような感じになるかな、ていう?

鳥海 僕が?

−−はい。

鳥海 いや、でもそう足を動かすタイプでもないんで…

宮田 意外と噛み合うかもしれないね。

鳥海 うん。

C級 どっちかっていうと、来たらこう、ちょっとだけ移動する、そのスピードが速いですよね。

宮田 完全なアウトボクサーじゃないですからね。ビデオ見たらスタンス広いし、ふところが深い方じゃないんだよね。だから追っかけやすいし、まあ打ち合いになる可能性もあるかな。

−−向うはサウスポーとまったくやってなくて、やばいっすやばいっすみたいなことを言ってるんだけども。

鳥海 まあ、でも…ね(笑)。

−−言ってるほど苦手だとは思ってない?

宮田 うん、うん。

鳥海 僕がしゃべったり、向こうがしゃべったりということが記事になると、ああ駆け引きなんだなこれもってすごい感じますね。だから僕がこう思ってることを言ってなかったり、それが記事になってたり、なってなかったり、ああこれが駆け引きなんだなって、まあそういうところを楽しんでる部分もある。

−−当然100パーセントすべて本気で言ってるわけでもないし?

鳥海 僕の場合はもう、ほとんど本音です。

−−感じたままを?

鳥海 そうあって欲しいっていう願いを込めてしゃべってます。

認めてもらういい機会

−−今回に限らず、対戦相手のこう記事っていうのは気になる、読む方ですか?

鳥海 でも今までこうお互い記事になるってことはなかったからね。もう急にここ1、2試合が取り上げられてね。

宮田 まあ向こうはチャンピオンだからね、防衛もしてるし。こっちは挑戦者のつもりでやるから、そういう気持ちは変わらないですよね。

C級 鳥海さんは以前、日本タイトルに挑戦されてますよね? 同じタイトルマッチで、以前と今回と、そのタイトルマッチをやるっていう気持ちの変化っていうのは?

鳥海 いや、ないですね。やっぱりタイトルマッチって特別なものだと思うし、今回に関してはまあ、タイトルかかってるかかってないは別にして、まあなんだろ…ひとつのお祭り興行的な部分が強いと思うから、ボクシングをあまり見たことない人たちが見て、面白いなって言ってもらえるようにしたい。

C級 日本のバンタムの頂点を決めるぞっていう意識はありますかね? 最強だぞという…

鳥海 ないですね。

宮田 鳥海はほら、ここ5〜6戦だからね、注目されてきたのは。だから今度の試合は鳥海が認めてもらう、いい試合だというつもりで頑張るけどね。

−−長谷川選手と対戦したことがある、練習したことがある選手から何回か話を聞いたりっていうことは、そういう接点は?

鳥海 ないですね。ほんとにもう…たとえば有永選手とスパーリングをこないだしたんだけど、有永選手と長谷川選手がやったスパーリングを見た人は、有永選手の方が分が良かったみたいだよ、っていう話しをちらっと聞いたことがあるだけです。あとは誰と誰とやったとか、たとえばどこそこにスパーリングに行ったとかしか耳に入ってこないですね。

−−有永選手以外にスパーリングをやった人は?

宮田 角海老ジムの6回戦選手を呼んでやりました。有永とは3回組んであったんだけど、台風で2日つぶれちゃって、実質的には1日しかやれなかったんです。

−−あと他に、千葉で低酸素トレーニングですか? どういうものなんですか?

鳥海 要するに高地トレーニングとおんなじ効果、です。

−−千葉にそんな高い所ありましたっけ?

鳥海 いやないです。部屋でそういう環境を作るんです。酸素濃度を調節して。

宮田 うちの会員で、大学の研究生がいて、そういう研究してるもんで、自分で研究しながら手伝ってみたらどうかっていうんでやってみたんですけどね。まあその部屋が大学の中に研究所があって、そこに行ってやってましたね。

−−そういう環境にした部屋で普段のジムワークをするっていうことなんですかね?

鳥海 ちがいます。基本的には寝泊まりするだけです。午前中向こうで走ってトレーニングして、午後はこっちでジムワークして、また終わったら向こうに帰って眠ってっていう感じですね。

−−要はそこに寝泊まりして、練習は普段通りジムでする?

鳥海 そうですね。

−−なんか手応えとか効果みたいなものは?

鳥海 いや、特に。でも検査で数字的なものは期待したとおり上がったンで…それだけですね。

−−今回そういうちょっと変わったトレーニングを取り入れたのって初めてですか?

鳥海 初めてです。

宮田 研究熱心だから、もう自分もあとから聞いた話なんで、本人がやりたいっていうんで行ったから、ああいんじゃないかって思ってね。

−−練習方法なんかは、自分でいろいろ考えてやったりするんですか?

鳥海 いや、そんなことないよね。もうずーっと同じことやってる。

宮田 こいつは普通。周りの人はハンパかも知れないけど、こいつは自分なりの好きなことやってるんだよね。

鳥海 考えるって言ったら、今日は調子ワルいからもうやめとこ…とか(笑)。

宮田 まあそんなぐらいかもしれないな。今日はミットいらないとか(笑)。自分の体調に素直にやってるよね、いつもね。いつもそれで納得してるしね。だからこいつはしっかりしてるから。

鳥海 まあ、ムリをしないようにしてますよね。

休む勇気と極意!?

−−“ムリ”というのはどんな意味で?

鳥海 まあ体調が悪いと感じたら思いきってすぱっとやめる。2〜3試合前だったかな。試合の10日ぐらい前に少し体を痛めて…まあ動けないことはなかったんだけども、3日間体を休めたんですよ。それまでは、ちょっとガマンしてやるかなっていう感じだったんですけど、そのとき初めて3日間休んだんです。3日も休むなんて怖いでしょ? だけど3日休んだら、体がもうすごい軽くなってた。そのかわり試合10日前だったから、ウエート管理だとか体調管理だとかすごい気を配ってましたけど、思いきって3日休んだっていうのがすごい大きかった。試合直前でもう、それぐらいする勇気、休む勇気が必要なんだなあって。

−−大正解だった?

鳥海 はい。無理してとばすことないんだな、と。

宮田 顔見て分かったし、休んで正解だったなって感じもしたね。ボクサーが1日休む、それだけでもすごく不安になるのに、3日も休むなんてね。もっと(試合まで)間隔があったら別だけど、そういう不安ってあるよね。やっぱり自己管理っていうのは一番大事だよ。体調のいいワルいは自分にしか分からないからね。鳥海は、スパーで調子悪いともうぱっと上がるから(笑)。そういうとこはっきりしてるよ。

C級 僕、よくあることなんですけど、スパーがその日入ってて、その前までは別に普通に普段通りの体調なのに、いざスパー始めるときになって…

鳥海 ああ、始まったらでしょ? うん、ある、ある。

C級 ふっと体調が悪くなることがあるんです。

鳥海 ある。あるね。逆の場合もあるよね。シャドーして、ちょっと何か動き重いなあと思って、いざスパー始めてみたらすごいよく動ける。そういうパターンもある。

C級 そうか、オレだけじゃないんだ…

−−A級ボクサーと同じ境地!? よかったな(笑)。

鳥海 一種のムラなんだろうけど、そういうのこう、何かしたらうまいこと無くせるのかな。

−−さっき言った逆の場合のとき、そのスパー前の時に何か変だなって感じた時は止めたりはしないんですか?

鳥海 とりあえずはやってみます。で、ダメだったらダメなりの動きになっちゃって、そこですぱっと上がる。一応はこなします。

C級 鳥海さんって考えてボクシングやってるなって印象を受けるんですけど、それは初めからだったんですか?

鳥海 いや、そんなことないなあ… 前はまあ、うーん、考えてない。ここまで考えてないよ…

−−考え出したのって大体いつ頃ですか? 何かこう、そうしなきゃと考えさせられるようなきっかけというか、試合があったんですか?

鳥海 うーん…もうあとがないって考え始めて…本気でやり出してからかな。もうホントに、ボクシングを真剣に。「今何がしたいんだ、今やりたいことって何なんだ? ボクシングだろ」ってことを思うと、考える時間がやっぱり増えるんですね。何をしてても、ボクシングのことを考える。例えばもう23時、24時、1時…、あーもうこんな時間だ、帰って寝なきゃってそんなところから。それまではもう「まあいいや今日は」って感じだったんです。けど、いやでもスポーツマンであるって…一番最初に考えなきゃいけないことが、早く帰って寝ること。その程度のものなんですけど、そういう小さなことがいろいろ積み重なっているんではないかなって思いますね。

−−その意識を変えるまでっていうのは、今考えれば、何となく練習してっていうような?

鳥海 甘い、甘い。全然、甘かった。

宮田 みんな普段は飲んで食ってばぁーって楽な気持ちでいてさ、試合前になったら減量入って、それじゃ体自体悪くなっちゃうしね。普段から徹底してればそんなに無理な減量しなくてすむし、暴飲暴食をあんまりしなければね。

前へ出ます! …多分

−−長谷川選手がしゃべってることって一通り読みました?

鳥海 読みました。そんな謙遜しちゃってって(笑)。

宮田 あれは本気じゃないね。もう、苦手だとか何とか…。作戦だよ、あれは。

鳥海 僕は90パーセント本音でしゃべってるけど、向こうはまあ、20〜30パーセントじゃないかな?

−−そこまで(笑)。いままで受けたインタビューで、話しそびれたとか、話したのに載らなかった、なんてことはありますか?

鳥海 いやぁ、ないですね。まあ、僕はもう(前へ)出ます! …多分

−−こんどの試合で、何かここを見てくれとか、ここがキーポイントだ、とかあればお願いします。

鳥海 空振り、かな(笑)。

C級 強振するということですか?

鳥海 …いやいや(不敵笑)。

宮田 こいつは空振りするタイプじゃないもん、大振りはしないよ(笑)。

鳥海 いやー、空振りするでしょう(笑)。空振りする方じゃない選手が空振りしたっていったらもう…致命的でしょう(不敵笑)。まあ、カウンター喰ってる姿が想像できる…

−−そのまま載せますよ。空振りして、カウンターを喰ってる自分の姿が目に浮かぶ!って(笑)。長谷川選手が読んでどう思うか…。

鳥海 (長谷川選手は)もう、ほとんどカウンターだもんね。カウンターになっちゃってるのかも知れないけど、打ち合ってる場面はほぼカウンターになってる。

宮田 うん、なっちゃってるっぽいな。昨日、柳光(和博=元東洋大平洋Sフライ級王者)と一緒に長谷川くんのビデオ見たけど、言われてるほどは上手くないと思うよ。たしかに頭ふるのは速いよ。勘もいいかもしれない、目もいいかもしれないけど、コンビネーションはないと思うね。上下の打分けとか、あんまりないし。一発当たったら、ぱっぱーってまとめて当てるのは速いけど、コンビネーションは少ないと思うね。コンビネーションはこっちの方が上でしょ。ボクシングの技術自体もね。

鳥海 手数が少ないよね。それがまあ無気味なところでもあるけどね。

宮田 完全に上体が立つ、アマチュアスタイルのボクシングだから、ボディが打てないんだよね。

鳥海 いや、ボディ打ってると思うけどね。左のストレートはボディ狙ってるよ。

宮田 いや、アッパーの方はないだろ。

鳥海 意見の食い違いだ(笑)。

−−本当のところを言うと、やっぱりボディが決め手じゃないかなとか思ったりしてませんか?

鳥海 まあ、そうかな。ボディ打ちで崩していかなきゃならないでしょうね。

宮田 こいつはパンチないから、上下の打ち分けでボディ打っていかないと。考えていかないとね、一発で倒す方じゃないから、打ち分けでポイント稼ぐ方だからね。まあ長谷川くんも一発屋じゃないし、見てみるとそんなパンチ力ないんだしね。

鳥海 タイミングはいいね〜

宮田 うん。離れ際の左フックとか、勘がいいよね。

−−それは当て勘だけでなく、避け勘も?

宮田 避け勘もいいよね。

鳥海 いやしかし…どうなるんだろうね(笑)。

−−楽しみは多いですか?

鳥海 うーん、そのーなんだろう? みんなが持ってるデータがあてにならないっていうのはすごい大きい。っていうのは右と左じゃ全然、もちろんパンチの角度も違えば、出てくる順番も違うし…。長谷川選手は、打ち合いの中でカウンターになってダウンをとるっていう場面が僕には多く見えたんですけど、右相手では倒せても、左相手となるとそれでは倒れないんじゃないかな、と。タイミングが合っても、倒れるまでの角度にはならないんじゃないかなあと。

C級 相手がいつも倒れてるっていうタイミングで打って、鳥海さんが倒れなかった時、が逆に勝機だということ…ですか?

鳥海 そこで、あれ?っと思わせられれば、ね。

[2004.10.24 記]

つづく



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